F1レッドブルの角田裕毅(25)が7日に行われた今季最終戦アブダビ・グランプリ(GP)決勝で、ドライバーズタイトルに輝いたランド・ノリス(マクラーレン)との間で起きた激しいバトルが波紋を広げている。

 問題の場面は23周目だ。ピットインを済ませたノリスが、前にいた角田を猛追。レッドブルとしては、マックス・フェルスタッペンの逆転タイトルを狙っており、ノリスのブロックが至上命令。だがマシンにスピード差がかなりあったため、角田は車体を左右に動かして進路を塞ごうと懸命のブロックを敢行。それでもノリスはイン側からコースアウト一歩手前となる反則ギリギリのラインで一気に角田を抜き去っていった。

 一歩間違えれば大事故になった可能性もあったため、直後にこの場面で角田、ノリスの双方が審議対象に。もしノリスがペナルティーを受ければフェルスタッペンの大逆転タイトル奪取が現実味を帯びただけに世界中が固唾を飲んで見守ったが、裁定は角田にだけ5秒のタイムペナルティー。ノリスはおとがめなしとなった。

 レース後、角田は自身へのペナルティーは不可解だとして反論。また、ノリスにペナルティーが科されなかったとも含めて、メディアやOBなども含め大論争が沸き起こった。

 論争が起きた背景には、過去の事件も影響している。2008年、ルノーの首脳陣がネルソン・ピケ・ジュニアに故意にクラッシュするよう指示し、セーフティーカーを出動させることで、同僚のフェルナンド・アロンソを勝たせるように目論んだF1史上最悪のスキャンダルとされる「クラッシュゲート」が起きた。もし角田がノリスを巻き込んでクラッシュさせる事態となっていたら、意図的かは別としても似たような状況を想起させて批判の対象となっていた可能性もあったのだ。

 また、直近では2021年最終戦で当時メルセデスのルイス・ハミルトンをレッドブルのセルジオ・ペレスが鬼ブロックして、同僚のマックス・フェルスタッペンのタイトルをアシストしたことも語り草となっている。

 米メディア「アスレチック」は、ノリスのレース後のコメントを報道。「(レース前から)角田が僕を妨害して苦境に追い込もうとする可能性は分かっていた。数年前にペレスがルイスにしたようにね。だからその多くはすでに我々のシナリオと予測に含まれていた」と角田が玉砕覚悟のブロックを敢行してくることは予測していたと強調。ただ、問題の場面は本当に危険と隣り合わせだったようで「僕はかなり素早く抜けたけど、かなり接近していた。考えてみると狂気じみているよ。だって即座に『まじかよ、あと5センチ近づいてたら終わりだった』って思ったからね」と一歩間違えれば大クラッシュの悪夢が現実になっていたと吐露した。

 もし角田が原因でノリスがリタイアにでもなっていたら、今後のキャリアに大きな傷となっていたことも考えられるだけに、何事もなくレースが終わってよかったと言えるだろう。