NPB史上最年少3冠王として日本球界を代表するスラッガーは、実力を証明できるのか。ポスティングシステムによるMLB移籍を目指すヤクルト・村上宗隆内野手(25)について、複数の米球界関係者が「評価が割れている」と証言している。長打力は折り紙付きだが、打者としての特長や弱点、さらには今季置かれていたヤクルトのチーム状況が評価を難しくしているようだ。中には、米球界で苦戦した当時の筒香嘉智外野手(33=DeNA)とダブらせる関係者もいるという。
今オフのMLB移籍を目指す村上には、複数の球団が視線を向けている。近年はNPBの強打者がMLBで一定の結果を残していることから、日本人野手への低評価はやや改善したとされる。2022年の鈴木誠也外野手(31=カブス)、23年の吉田正尚外野手(32=レッドソックス)は移籍初年度から戦力となり、日本人野手に対する評価を押し上げた。
しかし、村上はタイプが異なる。鈴木と吉田が「コンタクト型」のアベレージヒッターに分類されるのに対し、村上は本塁打で勝負する典型的な〝長距離砲〟。その点で、20年にDeNAからレイズ入りしながらMLBで適応できなかった筒香の名前を重ねる関係者も少なくないという。
筒香のMLB3年間通算成績は18本塁打、75打点、打率1割9分7厘。古巣DeNAと3年契約2年目となった今季75試合出場で打率2割2分3厘ながらも20本塁打、43打点と一定の成績を残し、24日には横浜市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の3億円(推定)でサインした。日本復帰後は本来のパフォーマンスを見せつつあるとはいえ、やはり「MLBでは通用しなかった」という印象がどうしてもぬぐえない。
実際、複数年にわたり村上を追ってきたMLBスカウトは〝筒香と酷似する弱点面〟をこう指摘する。「内角低めはさばけるが、インハイの150キロを引っ張ってスタンドへ運ぶ打球はほとんど見ない。これはNPBのスコアラーも把握しているし、データにも表れている」
今季の村上は右脇腹の故障で出遅れ、7月29日のDeNA戦(横浜)で今季1号を放つまで苦しいリハビリが続いた。だが復帰後は56試合で22本塁打と圧巻のペースを披露。国内での長打力が「本物」であることを再確認させたかに見える。
ただし、この成績すらMLB球団にとっては評価を難しくしているようだ。復帰時点でヤクルトはすでに大きく負け越し、リーグ最下位が濃厚となっていた。チーム状況が悪化した中で、村上一人の力では勝敗を動かせない局面が続いていた。
別のMLBスカウトは、村上の22本塁打の内訳をこう分析する。
「これは村上が悪いわけじゃない。しかし、22本のうち半分以上の13本がセンターから逆方向。相手バッテリーは〝ソロならOK〟という配球で、ランナーがいる場面は外角中心。カウントが悪くなれば歩かせておけばいい、という攻め方が続いた。優勝争いの中なら、夏場以降は内角主体の配球に変わる試合もあったはず」
つまり村上がMLB球団に「見せるべきもの」を披露する機会は、結果的にほとんど訪れなかったという。
それでもポスティング申請を済ませ、市場に公示されたことで争奪戦はすでにスタート。複数の米メディアは契約規模を5年総額180億円前後と予想し、大型契約が必至とみられている。期待値は過去の日本人野手と比較にならないほど高い。MLB球団は長距離砲としての適応力とインハイへの対処、そしてチーム状況に左右されない「本物の打席」がどれだけ描けるかを綿密に見極めようとしている。
新天地が決まれば、村上にはメジャー初年度から高いレベルのスタートダッシュが求められる。海を越える「最年少3冠王」が、揺れる評価を覆し新たな舞台で輝くことができるのか。その答えは、間もなく示される。












