【中島輝士 怪物テルシー物語(90)】私の韓国プロ野球での指導者としての仕事はわずか1シーズンのみで終わってしまいました。そんな2017年シーズンでしたが、それでも多くのつながりや思い出が残っています。

 印象に残っているのはMLBのロッキーズでも強打の捕手として活躍したウィリン・ロサリオですね。日本の野球ファンの皆さんには阪神に非常に大きな期待を抱かれ、鳴り物入りで入団するも期待に応えられなかったロサリオとして有名なんじゃないでしょうか。

 11年にメジャーデビューし翌年の12年にブレーク。ロッキーズの捕手最多本塁打記録を9年ぶりに更新する28本塁打を記録しています。これはMLB通算2519安打のトッド・ヘルトン(殿堂入り)の球団新人記録、25本を更新する快挙でした。

 その後も正捕手として活躍しましたが15年に成績を落とし16年1月にKBOのハンファ・イーグルスと契約。移籍1年目は127試合で打率3割2分1厘、33本塁打、120打点と堂々の成績を残しました。このオフにはメジャー復帰やNPB入りのうわさもありましたがハンファに残留。17年から私と同じチームで野球をすることになります。

 17年のロサリオはシーズン119試合で打率3割3分9厘、37本塁打、111打点でOPSも大台を超える1・075をマーク。2年連続の「3割、30本塁打、100打点」を記録し、移籍市場をにぎわせました。韓国の球場にもMLBをはじめNPBの編成担当らが多く訪問してきます。当然、ご縁のある方々から「ロサリオは日本で成功できるかな?」などという質問も出てきます。

 この頃、金本監督時代の阪神も熱心にロサリオを調査していました。当時の担当スカウトとも何度も顔を合わせています。17年12月13日に阪神とロサリオが推定年俸3億4000万円プラス出来高の1年契約を結んだと報道されました。それでも私の中ではNPBの緻密な野球にロサリオが対応できるか不安を持っていました。

 以前にもこのコラムで書かせていただきましたが、アジアの野球では日本が独自路線で発展していて、台湾や韓国はMLBを追随するイメージの野球を展開しています。表現が適切かどうかは読者の方々の判断に任せますが、台湾も韓国もイメージで言えばノーガードの打ち合いを展開するんです。

 純粋に野球を楽しもうとするならば、それも正解かもしれません。野球の華は剛速球とフルスイングから生まれる豪快なホームランです。ただ、それだけでプロ野球チームの勝率が上がるかと言われれば、アジアでは日本の野球のきめ細かさとワンプレーごとのクオリティーは突出しています。これはもう社会人野球、大学野球に至るまでそうじゃないでしょうか。日本の野球のレベルが高いことはWBCでの3度の世界一という結果が証明しています。

 ちなみにロサリオの阪神での1年目、18年シーズンの成績は打率2割4分2厘、8本塁打、40打点。内角にキレのいい直球を見せられて、外角にストライクゾーンからボールになるスライダーを投げられ、対応できない典型的なパターンを露呈しています。

 次回はもっと話題になってもよかった韓国の二刀流の話題に触れていこうと思います。