阪神・近本光司外野手(31)が11日、国内FA権を行使せずにチームに残留することを発表。「甲子園の歓声の中でプレーする。それに代わるものはない。それと他球団の評価などをてんびんにかけることもなかった」とチームへの思いを語った。

 兵庫・西宮市内の球団事務所で背番号5が会見に臨んだのは午後8時。FA権の申請期限まで残り4時間となっていただけに、まさにギリギリのところまで考え抜いた。本人によると、この日も午前中から「累計10時間は」球団と話し合ったとのこと。「僕の野球人生の中でとても大事な一日だったんじゃないかな」と、初々しい表情で長い長い一日を振り返った。

 出身は兵庫・淡路島。社高→関学大→大阪ガス(野球部のグラウンドは西宮市内の今津に所在)→阪神と、ほぼ〝オール兵庫〟の野球人生を歩んできた。そんな中でも幼少期を過ごした淡路島への思いは人一倍強い。

 2021年12月、近本は淡路島で行われた小中学生対象の教育講演会に講師として登壇。終了後、記者たちに対し「使命感というか淡路の子供たち、淡路の人たちのために頑張りたいという気持ちがモチベーションになっている」と自身を育んでくれた島への強い思いを口にしていた。

 くしくも同日には、当時プロ8年目にして自身初の国内FA権を取得していた梅野がチームに残留することが発表された。近本は当時、これを受け「僕もそういう状況になったら、どういう判断をするか分かりませんが、自分としては淡路島により近い場所にいたい」とポツリ。野球も含めた自身の人生に中において、故郷の存在がどれだけ「大切な位置」にあるかを語っていた。

 あれから4年。長く優勝から遠ざかっていた猛虎は、2度のリーグ制覇と1度の日本一を経験。近本自身も、本人を取り巻く環境も大きくステージが上昇したが、今回の決断に故郷・淡路島の存在が及ぼした影響は、やはり決して小さくはないのだろう。

 5年総額25億円の複数年契約を締結したとみられる虎のスピードスターは、愛着のあるチーム、ファン、そして故郷を背負い、フィールドをこれからも駆け抜けていく。(金額は推定)