新日本プロレス来年1月4日東京ドーム大会でデビューする2021年東京五輪柔道男子100キロ級金メダルのウルフ・アロン(29)が、初陣でNEVER無差別級王者EVILと対戦することが決定的となった。13日両国大会で「ハウス・オブ・トーチャー(H.O.T)」を蹴散らしたウルフはEVILを対戦相手に指名したが、相手は業界随一の極悪人…。まさかの〝金メダル没収マッチ〟の様相を呈してきた。

 この日の大会ではNEVER王座戦で、EVILがボルチン・オレッグに挑戦。H.O.Tのセコンド介入など反則まがいの極悪殺法を駆使して第49代王者に輝いた。

EVIL(左)とにらみ合うウルフ・アロン
EVIL(左)とにらみ合うウルフ・アロン

 試合後もボルチンに暴行を加えるH.O.Tの面々を、セコンドのヤングライオンたちが制止に入ったものの、返り討ちにされてしまう。そこに割って入ったのが、なんとウルフだった。

 ウルフは高橋裕二郎、金丸義信を柔道技の払い腰で投げ飛ばすと、ディック東郷にはボディースラムを決めてEVILの前に仁王立ち。王者と視殺戦を繰り広げた後、バックステージに現れ「まだ練習生という立場だったので、リングの上で止めるってことはしなかったんですけど、今日は頭で考える前に体が動いてしまっていて。正直、今の立場で僕が言っていいことか分からないんですけど、1月4日デビュー戦、EVILとやらせてください。以上です」と直訴した。

 五輪金メダリストのプロレス転向は日本人では史上初とあって、6月の入団以降ウルフの一挙手一投足に注目が集まっていた。大物の証明である来年1・4ドームでのデビュー戦の相手は現役のNEVER王者で、いきなりタイトルマッチという破格の扱いとなる可能性もある。

 しかし何よりも忘れてはいけないのは、EVILは誰よりも理不尽な男ということだ。バックステージでは「イチ練習生の分際で生意気なマネしてくれたな、この野郎。死ぬ覚悟があるなら叩き潰してやるからな」と激怒。さらに大会後、けたたましく鳴った記者のスマホには「EVIL」の邪悪な4文字が…。

 怒りが冷めやらぬまま「今日の試合見ただろ? アマレスの世界ランカーだったボルチンでも、俺たちに歯向かう罪を犯したら必ず罰が下るんだよ。柔道の金メダリストだか何だか知らねえが、そんなもんはこのリングの上では一切通用しないし、何の役にも立たねえんだ」とウルフを断罪した。

 プロレスへのリスペクトを公言するウルフは、入団会見で「自分は柔道金メダリストなんだというプライドを持ってしまっていると、それは邪魔になってしまう」と決意表明し、文字通りゼロから新たな挑戦に取り組んできた。だが、これを聞いたEVILは「なら言ってることとやってることが違うじゃねえか。金メダリストのプライドを捨てたはずのヤツが、どういう了見で俺の前に立ってるんだよ。二度と勘違いできねえように、そのくだらねえプライド、俺が代わりに投げ捨ててやるから、金メダルを俺に差し出せ。分かったな、よく覚えとけ」と理不尽すぎるメダルはく奪を予告して、一方的に通話を打ち切った。

 棚橋弘至の引退試合が行われる来年1・4ドームにおいて、ウルフのデビュー戦は団体、そして業界の未来を占う一戦と位置づけられているのだが…。理屈が一切通じないEVILを指名してしまったことによって、すべてを失いかねない危険な空気が充満してきた。