歴史を変える準備は整った――。13日に開幕する陸上の世界選手権(世界陸上、東京・国立競技場)へ向けて注目度が増す中で、メダルの可能性を秘めるのが男子3000メートル障害の三浦龍司(23=SUBARU)だ。2021年東京五輪、24年パリ五輪で2大会連続の入賞を果たすなど、世界の第一線で活躍。同種目で日本人初の表彰台を目指す主役候補が本紙の単独インタビューに応じ、祭典への並々ならぬ覚悟を語った。

 7月のダイヤモンドリーグ(DL)第10戦モナコ大会では、圧巻の走りで世界を驚かせた。ラスト1周でギアを入れ替えると、五輪2連覇中のスフィアヌ・バカリ(モロッコ)の前に出る場面もあった。最後は惜しくも競り負けたが、自身が持つ日本記録を6秒以上も更新する8分3秒43をマークして2位。世界選手権の表彰台も現実味を帯びてきた。

DLモナコ大会で銀メダルを獲得した三浦龍司(提供写真)
DLモナコ大会で銀メダルを獲得した三浦龍司(提供写真)

 三浦 今の自分の課題を克服することが世界選手権までにできれば、メダルの可能性はあると思っている。海外の選手も着実にレベルを上げてきているけど、本番まで何が起こるかわからないのが3000メートル障害の面白さでもある。まず実力通りの走りをすることが一番だけど、プラスアルファでもう一つ強みを加えることができればと思っている。

 3000メートル障害は転倒や接触が日常茶飯事で、波乱がつきもの。レース中の駆け引きも勝敗を左右する重要な要素となる。世界で多くの経験を積んだ三浦は、ライバルと共闘しながらしのぎを削る構えだ。

 三浦 世界のパワーバランスの中に自分も加わっているなという認識を持たれてる選手の方が絶対に有利。パリ五輪では予選の時にどういったペースで行くかを(海外勢に)聞いてみたら「このタイムで行くから行けるか?」と言われたので「行ける」と返したら、そこで一つのペースがつくれたというか、レースの支配権を握ることができたので、その立ち位置に入ると有利にレースを進められると思う。

 日本でなじみの薄かった3000メートル障害において、自らの足で新たな道を切り開いてきた。3000メートル障害の認知度を大いに向上させたが、タイム面では夢の7分台も視野に入れている。

 三浦 メダルも一つの目標だけど、8分を切ることも大きな目標になってくる。今も7分台に乗っかった選手は少ないし、ケニアやエチオピアなどのアフリカ勢を見ても少ない。その中でアジアの選手が、しかも日本人が今まで一番期待の持てない、メダルから遠いと言われてた種目で8分を切ることができれば、大きな変革になるかなと思う。それはモチベーションの一つになっている。

 3000メートル障害の日程は、13日に予選、15日に決勝が行われる。前回の23年世界選手権は銅メダルまで1秒72届かなかった。あの日から約2年。ブダペストの地で置いてきた忘れ物を取りに行く日がいよいよやってくる。

単独インタビューに応じた三浦龍司
単独インタビューに応じた三浦龍司

 ☆みうら・りゅうじ 2002年2月11日生まれ。島根県出身。小学1年から陸上を始める。順大では4年連続で箱根駅伝に出場。洛南高(京都)入学後に着手した3000メートル障害は、21年東京五輪で7位。同種目日本人初の入賞を果たした。23年世界選手権は6位、24年パリ五輪では8位に入った。今季は7月のDL第10戦モナコ大会では、自身が持つ日本記録を6秒以上も更新する8分3秒43をマークして銀メダルを獲得した。168センチ。