猛虎2年ぶりのV奪還はこの男なしには語れない。セ・リーグでダントツの36本塁打、89打点の2冠王に君臨する佐藤輝明内野手(26)だ。

 指揮官就任1年目の藤川球児監督(45)の下、開幕前から強烈なインパクトを残した。3月日に東京ドームで行われたドジャースとのプレシーズンゲーム。サイ・ヤング賞に2度輝いたブレーク・スネル投手(32)から3ランをかっ飛ばし、その名を世界にとどろかせた。ところが、本人は何と「技術的には、そこで1回ちょっとおかしくなったという部分があった」と振り返る。

 もちろん、実力者から放った一発は自信を深めた。その一方で生じた感覚のズレが開幕直後の打撃に暗い影を落としたという。それでもガタガタに崩れなかったのは「バッティングフォームを一番大事にしてきた」からだ。打撃の映像を分析し、自分のスイングを客観的に理解する力を磨いた。「いい時、悪い時がちゃんと分かるようになってきたかなっていうのは、そこは成長っすよね」と言い切る。

 本拠地とする甲子園では強烈な浜風が吹き荒れ、左打者には不利と言われる。その中で本塁打王に挑み続けることには「(タイトルを取れたら)自信になるというか、なかなかできることじゃないと思う」と自負もある。

 開幕直後のズレを修正しながら、レベルアップしたスイングでアーチを量産。課題としていた守備でもここまで5失策と安定したプレーを続けている。

「全部レベルアップを目指してやってきたんで、全部うれしいですよ」。人知れず抱えていた悩みを乗り越えてきた虎の4番打者は、ポストシーズンでも快音を響かせる。