トランプ大統領とプーチン大統領の4年ぶりの首脳会談が15日、アラスカで行われたが、停戦合意には至らなかった。ただ多くの米露メディアが指摘しているように、プーチン氏にとっては〝実り〟の多い会談となったようだ。

 欧米メディアは16日、プーチン氏が会談でウクライナ軍の東部ドンバス地域(ドネツク、ルハンスク両州)からの撤退と全域割譲を求めたと報じた。また、部分的に支配しているヘルソン州とザポリージャ州の戦線を凍結するよう求めたという。

 その会談後、トランプ氏は自身のSNSトゥルース・ソーシャルに「ロシアとウクライナの恐ろしい戦争を終わらせる最善の方法は、しばしば持続しない単なる停戦合意ではなく、戦争を終わらせる和平合意に直接進むことだと全員が判断した」と投稿した。

 これはかねてプーチン氏が望んでいたアプローチだった。

 2022年2月24日のウクライナ侵攻以降、ロシアはウクライナ領土の約5分の1を占領した。ロシアはルハンスク州のほぼ全域を支配しているが、ドネツク州は4分の3程度しか支配していない。ドネツク州の全域支配には数年かかるとみられている。

 ロシア事情通は「ロシアは和平交渉への条件として、占領した領土を自国領土とすることを重要視しています。だから会談で出した2つの地域の割譲という条件は、ほんの一部でしょう。そして戦争を継続して、できる限り領土を拡大しておきたい。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、停戦合意なしの和平合意に一貫して反対しています。ウクライナが停戦に向け手を緩めたら、ロシアがそこにつけこんで、領土を拡大するのが目に見えているからです」と語る。

 つまり、トランプ氏が「停戦合意ではなく」と述べたのは、首脳会談の結果、プーチン氏に寄り添うことを表明したことになる。実際に欧米メディアによると会談後、トランプ氏はウクライナと欧州の首脳に対し、即時停戦を目指すのではなく、ロシアの提案を受け入れるべきだと伝えたという。

 また、首脳会談でプーチン氏は〝大きな可能性〟を秘めた経済、貿易、投資の話題にも触れ、最も有望な協力分野として、エネルギー、デジタル分野、ハイテク、宇宙探査、北極圏などを挙げたという。

 米国事情通は「トランプ氏は、あと1か月ほど待つ用意があるようです。その後、和平交渉から手を引くか、もしかしたらゼレンスキー氏の打倒を命じるかもしれません。これからのトランプ氏の最大の課題は、経済面での最大の敵である中国側に、ロシアが完全についてしまうことです。世界的には孤立しているロシアを中国が取り込んでがっちりと経済圏を確立すれば、トランプ氏の最大の失態となります。トランプ氏としては、プーチン氏が米国との関係正常化に興味を持っている今のうちに、プーチン氏を囲い込みたいのです」と指摘した。

 ゼレンスキー氏は18日にワシントンを訪れ、欧州首脳とともにトランプ氏と会談する予定。早ければ22日までに三者での会談が行われる。しかし、プーチン氏の条件は受け入れがたいだけに、ゼレンスキー氏は難しい判断を迫られそうだ。