米国とイラン間の戦争において、戦闘終結に向けた交渉が停滞し、互いが譲歩しないため、戦火が中東全域に広がる懸念が強まっている。

 米軍は10日、2日連続となるイランへの空爆を行った。イランによる戦闘ヘリコプター「アパッチ」撃墜への報復を9日に行い、10日にも短時間の攻撃を行った。一方、イランは、ホルムズ海峡の通航を禁止すると表明した。

 トランプ大統領は戦争開始直後から、「合意は目前だ」と言い続けてきたが、両国の合意条件が合わないままだった。大まかには、米国としては「イランの核能力そのものをつぶしたい」が、イランとしては「核兵器は作らないが、核技術は放棄しない」と、平行線が続いてきた。

 トランプ氏のいらだちは募る一方だ。米メディア・アクシオスによると、トランプ氏は、イランに提示した最新の提案に対する返答を約2週間待ち続けていたが、反応が得られなかったことに強い不満を募らせていたという。

 そのため、2日連続の空爆となったと可能性がある。米国事情通は「米国は軍事圧力をかけながら交渉し、譲歩すれば攻撃を止めるというスタンス。イランは攻撃を止めれば交渉するというスタンス。お互いに食い違っているので、軍事的エスカレーションが起きる可能性は高いです」と指摘する。

 軍事的エスカレーションといっても、トランプ氏が嫌う「終わりのない戦争」となることが確実となる、イラン本土への地上侵攻はないとみられる。

「トランプ氏周辺の関係者によると、イランが譲歩せざるを得ないほどの大規模で短期間の軍事作戦を選択肢の一つにしているそうです。数日間の徹底爆撃とサイバー攻撃で、防空網、レーダー施設、ミサイル基地、ドローン司令部、革命防衛隊の施設を破壊し、イランの反撃能力を大幅に低下させると思われます」(同事情通)

 そうなると、イランはどう出るのか。すでにイラン議会国家安全保障委員長は「戦争はこの地域に限定されない」と発言している。

 中東事情通は「イランは〝米軍基地を提供する国は共犯〟と位置づけ、バーレーン、クウェート、カタール、UAE、サウジアラビアなど湾岸諸国を戦場に巻き込む可能性があります。さらに、イエメンのフーシ派やイラクのシーア派民兵、シリアの親イラン武装勢力、ヒズボラ残存勢力など〝抵抗の枢軸〟が動き出せば、もはや米国&イスラエル対イランの戦争ではなく、中東全域を巻き込む多正面戦争へと発展しかねません」と話している。