米中首脳会談が間もなく開催される。トランプ大統領が現地時間13日に北京入りし、14、15両日に習近平国家主席と会談する。表向きのテーマは、米中間の貿易安定化や関税戦争のきっかけとなった米国へのフェンタニル流入阻止、そして台湾問題などになるが、裏テーマになるとみられているのがイラン戦争だ。これについての米中の利害は一致しているが――。

 トランプ氏の中国国賓訪問を前に、両国の協力関係を強調することがあった。米麻薬取締局と中国公安部麻薬取締局は11日、米国のフロリダ州、ネバダ州、そして中国の遼寧省と広東省にまたがる連携作戦で、米国に麻薬を密輸しようと計画した米国人3人と中国人2人の計5人を共同逮捕したのだ。これは両国で大きく報じられた。

 世界二大大国の米中は、米国への中国製のフェンタニルを含む麻薬流入を巡って対立。トランプ氏が高関税を課し、中国も報復し、関係がこじれた。そのため、首脳会談の表のテーマは、貿易と麻薬となりそうだ。

 米国事情通は「11月の中間選挙を控えたトランプ氏としては、大豆やトウモロコシなど米国産農産物を中国に購入してもらい、中国産のレアアースを安定供給してもらいたい。そして、フェンタニル問題の解決でしょう。一方、不動産不況や若者の失業など経済的に苦しい中国側としては、追加関税停止、半導体規制緩和を望むとみられます。そして、台湾問題も大きい。中国は米国に『台湾独立を支持しない』と言わせたいでしょう」と語る。

〝裏テーマ〟はイラン戦争だ。米中首脳会談に先立つ6日、イランのアラグチ外相が訪中し、中国の王毅外相と北京で会談した。これは中国がイランに対し影響力をアピールする狙いがあったという。ところが、その後イランが仲介国パキスタンに送った、戦闘終結に向けた米国の提案への回答にトランプ氏は「気に入らない。断じて受け入れられない」と不満を示しており、中国の狙い通りにいっているとは言いがたい。

 中国事情通は「米国としては、イランと親密な中国に和平促進で積極的役割を果たしてもらうことを期待しています。一方、中国も、中東情勢の安定とホルムズ海峡の石油輸出ルートの正常化を望んでいます。中国は、中東からのエネルギー輸入の依存度が極めて高いからです」と言う。

 イラン戦争による中東情勢悪化やホルムズ海峡封鎖などは、ガソリン高騰など世界に大きな影響を与えている。また、インクの基礎材料となるナフサ不足で、包装用の印刷インキの原料供給が不安定になっているため、カルビーは12日、スナック菓子「ポテトチップス」「かっぱえびせん」などの主力14商品の包装を5月下旬から順次、白と黒の2色にするという細かい影響まで出ている。

 原油を精製した際に得られるナフサは、インク、プラスチック、合成繊維、包装材、塗料、接着剤、化学肥料などの基礎原料で、不足すると影響はさまざまな産業に広がる。

「米国はシェールガス、エタンなどを自前で大量に得られるので、ナフサを使わない石油化学原料があります。逆に中国は世界最大のプラスチック製品工場、包装材工場、合成繊維工場を抱えており、以前から中東の原油によるナフサ頼りです。輸出製造業全体への打撃になるので、イラン戦争は止まってほしいのです」(同)

 こう着状態が続く米国とイラン。米中首脳会談で打開の道は開けるのだろうか。