卓球のWTTチャンピオンズ横浜(神奈川・横浜BUNTAI)女子シングルスで、早田ひな(25=日本生命)を巡る〝処置〟が波紋を広げている。9日の2回戦で張本美和(17=木下グループ)と対戦し、2―2の最終5ゲームでメディカルタイムアウトを行使。中断明けに逆転して勝利を収めた。一方の張本は、試合後に涙を浮かべてルールや対応を疑問視。卓球ファンからも賛否両論が巻き起こる中、本紙は主催者、関係者の証言から問題点に迫った。
ITTF(国際卓球連盟)のルールでは「マッチ開始時に存在した障害、またはマッチ開始時に合理的に予測される障害、または競技のストレスによる競技の中断は認められない」。メディカルタイムアウトは、試合中の新たなケガや出血など目視で緊急性が認められたケースで適用されると規定している。
しかし、早田はメディカルタイムアウト時に昨夏のパリ五輪時から痛めている左腕を治療。ある関係者は「早田さんは2か月前から尺骨神経の圧迫で左手の小指と薬指がしびれていたと言っていた。審判は新たなケガと認識したかもしれないが、もともと左腕は古傷だったとも言えるので難しいところ」と指摘した。
ただ、今大会の主催者はWTT(ワールドテーブルテニス)だ。WTT側は「ITTFとは組織が別なので(ルールの違いについて)答える機軸(立場)にないし、2つの組織のルールが同じである必要はない」と説明。さらに今回のケースは早田へのヒアリングで治療が必要と判断されたことから、メディカルタイムアウトを認めたとの見解を示した。
騒動の発端となった治療そのものは、ITTFとWTTのルールの相違が主な要因で、早田に大きな非はない。ただ、処置を施した〝人物〟が、張本が不信感を募らせる要因となった。自国選手同士の対戦では、コーチを置かずに試合をするのが慣例。勝負の公平性を担保するためだ。実際に早田、張本ともにコーチを置かずに試合を進めていた。
ところが、メディカルタイムアウト前に、コーチの岡雄介氏が早田に駆け寄るシーンがあった。治療時にも、岡氏が早田を直接マッサージ。同氏は普段からトレーナーとしても早田を担当しているため、治療の観点からはベストの選択だった。ただ、結果的にコーチの肩書を持つ人物が一定時間、選手と言葉を交わせる状況が発生した。
別の関係者は「お互いコーチなしで試合をしているのに、岡コーチが早田選手と会話できる状況があったことが張本選手の疑念につながったのでは。張本選手は待ち時間はずっと1人でしたからね」と解説した。
WTTの規定上、メディカルタイムアウト時に誰が治療しても違反にはならない。また、岡氏が駆け寄った件もルールに記載されていないという。早田、岡氏ともに違反行為はなく、この点でもルール上の落ち度はない。しかし、選手とコーチの接触により、張本が試合に集中しづらい状況となったことも確か。熱戦に水を差さないためにも、今後は明確な基準づくりが必要となりそうだ。












