第107回全国高校野球選手権大会で暴力問題に揺れていた広陵(広島)が出場を途中辞退する判断を余儀なくされた。SNSによる誹謗中傷が止まらず、事の重大さとSNSの影響力を改めて思い知らされる結果となったが、大阪桐蔭OBで高校野球ユーチューバー「田端ブラザーズ」の田端良基氏(31)は今回の騒動をどう見たか。高校球界が抱えるSNS時代の問題点を聞いた。
旭川志峯(北北海道)との初戦を突破し、第9日に津田学園(三重)との2回戦を控えていたが、誹謗中傷はエスカレートし、学校の生徒や職員にまで危険が波及。SNSの〝暴走〟が広陵を前代未聞の途中辞退に追い込んだ格好となった。かつて花巻東・大谷翔平(ドジャース)から本塁打した〝伝説のスラッガー〟田端氏は「こういうのは初めてのケース。高野連もSNSをなめていたところはあると思います。ここまで世間を揺るがし、出場しているチームを辞退にまで追い込むというのはよほどのこと。そこまでの影響力があるということをいい意味でも悪い意味でも高野連は把握しとかないといけない」と指摘した。
1月に寮で上級生による下級生への暴力事案が発生し、3月に高野連が当該生徒の公式戦の出場停止処分を下した。いわば「解決済み」のことが開幕前からSNSで話題となり、高野連は誹謗中傷をやめるよう声明を出しただけで、事実の経緯は明かさなかった。ところが広陵が初戦を突破し、新たに元部員の「実名告発」が拡散されると、収拾がつかない事態に発展。学校側が報告書を発表し、高野連も対応に追われることになった。「高野連の調査が甘かったのか、追い打ちを想定できていなかった。今までそういう問題があっても大丈夫だったので、今回もいけると思っていたのかもしれない。高野連の判断って学校に委ねて年々甘くなっている。僕らの時代は〝暴力一発アウト〟だった」と双方に波風を立てたくない姿勢があったと見ている。
多くの学校が教訓にすべきことであり、選手の自覚、指導者にも徹底した注意が求められる。再発防止について田端氏は「暴力を起こしたら大変なことになるんだ、という自覚を持つこと。今回だって一般的に見て出場停止は当然の内容なのに、1回戦は出れている。集団暴行は措置が一番重いとの本気のペナルティーを科すしかない」と力説し、さらに「高野連にも本格的にSNS部隊、サイバー部隊のようなものを立ち上げた方がいい。今回のことも早く察知して別のチームを出させることだってできたかもしれない。直でつながれる〝SNSセンター〟みたいな窓口があって、フェイクと精査していくことです。そうすれば余計な炎上が防げる」とSNSの〝チェック機関〟が必要と提案した。
また、田端氏は1回戦の試合後に波紋を広げた旭川志峯の〝握手拒否〟にも言及。1―3と敗れ、全選手が整列して挨拶したが、数人の選手が握手をせずにその場を立ち去ったと話題になった。現場で様子を見ていた田端氏は「握手拒否には見えなかった。応援団のアルプスからのエール交換だって旭川志峯の方からやっていたし、それを見せられると握手しない理由はないし、そこまで気にしていないと思った。対戦する側とすれば相手が動揺していたらラッキーなはず。自分らが行けるんじゃないかって思う」とし、さらに「負けて悔しくて握手しない選手だっている。それが〝握手拒否〟となってまた誹謗中傷につながるとか…面倒な時代です」と〝悪循環〟を嘆いた。











