阪神・佐藤輝明内野手(26)が8日、ヤクルト戦(京セラ)で両リーグ最速となる30号ソロを放った。試合は延長12回の末に3―1で敗れ、マジックも「31」で足踏み。それでも「大台」は若き主砲にとって勲章だ。チームが首位を独走する中で4番が2試合連発と、その勢いは確実に加速度を増している。

 両軍無得点で迎えた4回だった。佐藤輝は二死無走者で打席に立つと、カウント3ボール1ストライクから高梨が投じた5球目、甘めに入ったフォークを「ドンピシャ」のタイミングで捉えた。打球はドームの天井を伝うように放物線を描き、右翼席中段に着弾。虎党で埋まったスタンドは大歓声に包まれた。「良かったと思います。勝ちたかったけど」。まだまだ通過点とばかりに、コメントに感情はこもっていなかった。

 だが、虎の歴史にとっては間違いなく快挙。球団の生え抜きでは日本一となった85年の掛布雅之(40本)、岡田彰布(35本)以来、40年ぶりとなる30号到達。「飛ばないボール」の時代となった現代で、右翼から左翼へ強い浜風が吹く甲子園を本拠地とする阪神で記録したことには大きな意味がある。

 レジェンドOBの名前を聞いた瞬間は「そこと比べるのは、違いすぎて」と謙遜したが、そんなことはない。1992年からラッキーゾーンが撤廃され、長い歴史の中で2000年に新庄剛志が28本、05年に今岡誠が29本のアーチをかけてきたが、稀代のスラッガーたちでも届かなかった領域。そこに風穴を開けた〝令和の虎〟は新たなレジェンドとして語り継がれるはずだ。

「自分の中では30というのは一つの目標でしたから」と、少しだけ満足げな表情を浮かべた佐藤輝。残り41試合で今度は40本という可能性も十分に残している。「1打席、1打席、頑張ります。それだけです」と地に足がついたコメントを残した4番に期待が高まるばかりだ。