2025年6月3日に亡くなった長嶋茂雄氏を偲び、同氏の第2次巨人監督時代を振り返った連載「ハダカの長嶋巨人」。常に話題の中心にいた「ミスター」を取り巻く人たちを含めた群像劇を、当時の東スポ巨人担当記者がつづります。
【ハダカの長嶋巨人#38・長嶋監督の巻】
2000年ごろ、長嶋巨人で大流行したのが「カンチョー攻撃」だ。カンチョーとは自らの人さし指を、相手の肛門付近めがけて突き刺すという荒業で、シンプルな技ながらもかなり痛い。小学生同士のいたずらなら、泣き出す子もいるぐらい。
広めたのは「番長」こと清原和博。主にサヨナラのシーンなどで主役のヒーローのお尻めがけて「ズブリ」とやるわけだが、清原がサヨナラ打を打った際には元木大介などにやられていた。松井秀喜や上原浩治も「カンチョー継承者」として知られ、松井は後に「初めて清原さんにカンチョーしたときは、ものすごい勇気が必要だった」と述懐しており、上原はWBCでイチローにカンチョーした際にマジギレされ、関係が悪化したといわれている。
当時の巨人ナインの間では週に一度は誰かが被害者となっていた感じ。高橋尚成などは祝勝会でお尻を丸出しにしていたところ、背後から肛門にビールびんを突き立てられた。
だが、そんな風潮を快く思っていなかったのが、巨人フロントだった。「カンチョーは下品なのでやめるように」と異例の通達が下り、ブームは徐々に下火になっていった。確かに下品なだけではなく故障にもつながる。指を骨折したり、肛門が裂けてしまっては選手生命にも関わる。特にフロントが最も警戒したのが、優勝決定試合の胴上げの際に「悲劇」が起きること。つまり「長嶋監督がカンチョーされてしまうのでは」という事態だった。
バカバカしい話かもしれないが、当時は本当にそんな心配がされていて、自分は長嶋監督にそんな質問をぶつけたことがある。
「胴上げの際、監督にカンチョー攻撃を仕掛けようという動きが、一部の選手の間であるようですが…」
その時の長嶋監督の答えには、今でも強烈な印象が残っている。
「ハッハッハッ、面白いですねえ。やれる度胸があるなら、やってみろってんですよ! もし実際にやられたら? そんなときはねえ、思いっきり屁をかましてやりますよ!」
カンチョーVS毒ガス攻撃。果たして軍配はどちらに上がるのか。確かそんな記事を書いた記憶がある。実際にそんな事態にはならなかったが、あの時の長嶋監督のリアクションから考えると、もしカンチョーされても、決して怒ることはなかったんじゃないかなあ…と思っている。













