2025年6月3日に亡くなった長嶋茂雄氏を偲び、同氏の第2次巨人監督時代を振り返った連載「ハダカの長嶋巨人」。常に話題の中心にいた「ミスター」を取り巻く人たちを含めた群像劇を、当時の東スポ巨人担当記者がつづります。

【ハダカの長嶋巨人#39・番外編】

 第2次長嶋巨人で、一時期ブームになっていた漫画がある。週刊「アサヒ芸能」で2000年ごろに連載されていた「いけ!いけ!清田」(どおくまんプロ)で、これがとにかく面白く、いつも爆笑させてもらった。

 この漫画はあくまでフィクションで「実在の人物、団体とは一切関係ありません」という断り書きがあったから、以下カッコ内で表記したモデルはすべて私の推測となるが、主人公の清田(清原和博)ほか、嶋長監督(長嶋茂雄)、腹ヘッド(原辰徳)、井松(松井秀喜)、木元(元木大介)、屁藤(江藤智)、低橋(高橋由伸)ら、バイアンツ(ジャイアンツ)の選手が勢ぞろい。神阪(阪神)の村野監督(野村克也)、日中(中日)の星山監督(星野仙一)らライバルたちもいて、そんな登場人物たちが「がびーん」と目玉を飛び出させたり、時には小便をたれながしたり…。“どおくまんワールド”全開とも言える、とんでもない事態にいつも話が発展してしまうのだ。

 清原自身もこの漫画が大好きで「最近、清田が活躍してない」と語ったこともあったほど。東京ドームのロッカー内ではアサヒ芸能が回し読みされていたし、担当記者の間でも大人気。人気の秘密は、登場人物たちのリアクションの面白さはもちろんのこと、担当記者やコアな野球ファンでなければ気づかないような実際の出来事と、限りなくリンクしていたからだろう。

「いけ!いけ!清田」のモデルになった(?)清原。元木(左)と対峙する覆面姿の清原(2002年9月、兵庫・芦屋)
「いけ!いけ!清田」のモデルになった(?)清原。元木(左)と対峙する覆面姿の清原(2002年9月、兵庫・芦屋)

 たとえば「井松(松井)の部屋がイカ臭い」という回では、私が当コラムで以前に書いたように、東スポの記事を元に作成したものと思われるし、「嶋長監督(長嶋)の胴上げの美学」の回では、おそらく前回の私のコラムでも触れた、当時の東スポ記事を下地にしている。

 ほかにも原上(上原浩治)の小田急線の踏み切りでのエピソードには「報知のジャイアンツ日記がネタになってる!」と、あのころはニヤリとしたもの。靖国神社の白い鳩や、雷嫌いのベルガス(バルビーノ・ガルベス)、嶋長監督(長嶋)と腹ヘッド(原)がカラオケで「兄弟船」を歌った話などなど、どおくまん氏の細部にわたるネタ収集力のすごさが、漫画の面白さを倍増させていた。

 しかし、なぜだか単行本としては発売されず「伝説の漫画」となってしまった。それでも現在は、ネット上の「どおくまんプロBLOG」で閲覧することが可能。当時の長嶋巨人を思い出したい方は、ぜひ読み返してもらいたいと思う。