メジャー初勝利の歓喜から一夜――。評価の目が冷静さを取り戻す中、それでもドジャース・佐々木朗希投手(23)に寄せられた視線は「厳しさ」よりも「期待」に満ちているようだ。
米紙「ニューヨークタイムズ」(電子版)は提携の有力メディア「ジ・アスレチック」の記事を掲載。記事では現地時間4日未明の敵地ブレーブス戦に先発登板した佐々木が5回3失点でメジャー初白星を挙げたことを事実として淡々と伝えつつも、その〝進化のプロセス〟にフォーカスしている。そこで特にクローズアップしたのは佐々木が「速球で空振りが取れない」という課題に直面しながらも、むしろ自身の課題と丁寧に向き合う姿勢だった。
記事は佐々木が持つ剛速球が、これまでのようにメジャーで空振りを奪う〝魔球〟ではなくなっている現実を指摘。速球の「空振り率」はメジャー全体でも最低水準に位置し、速球単体では勝負できないというデータが浮き彫りになっている点にも触れている。
しかしながら佐々木はその現実をただ嘆くのではなく、受け入れた上で「変化」を選んだ。自身のスピードに頼らず、スプリッターやスライダーとのコンビネーションで打者を打ち取る投球へとモデルチェンジを図りつつあるという。
「速球にはまだ満足していない。でも、他の球種を交えることで打者を抑えることはできる」――そう語る佐々木のコメントを同記事は引用し「速球への過度な依存から脱却することで、長期的な成功の道を模索している」と肯定的に評価している。
また同記事は、佐々木がメジャー初登板時に記録した101マイル(161・5キロ)の剛速球が、その後の試合では意図的に抑えられていることにも言及。指揮官のロバーツ監督やプライアー投手コーチらが主導し、佐々木には「制球できる範囲での球速」を維持させる方針が取られているという。
これは佐々木をローテーションの中軸として長く活躍させるための投資であり〝大谷翔平とは異なる成長曲線〟を描かせようとする球団の意図も透けて見える。
初白星の祝福ムードに包まれたロッカールームで、佐々木はビールシャワーを浴びた。「多くのチームメートがおめでとうと言ってくれた」と笑みを見せたが、その裏で自身が積み重ねている「苦闘の努力」こそ米メディアが本当に称賛した部分だった。
佐々木は、まだ23歳。速球だけで勝負できないという〝現実〟と真摯に向き合い、スタイルを変えながらメジャーという舞台に自分を適応させている。それこそが今、最も注目すべき成長の物語なのかもしれない。












