この男は新時代のミスタータイガースになれるのか――。阪神・佐藤輝明内野手(26)が25日、巨人戦(甲子園)で試合を決定付ける8号3ランを放った。4ー1で勝利を飾ったチームに大きく貢献。「ミスタータイガース」を招いての「Tigers Legends Day」での本拠地白星に特大アーチで華を添えた。

 1点リードの3回一死一、二塁の場面だった。巨人・赤星のフォークをバットで拾い上げると、打球は大きな弧を描き滞空時間たっぷりにスタンドへ到達した。かつてのミスタータイガース・田淵幸一氏のような豪快かつ美しい弾道。時代を超えて映し出される景色に、4万を超える虎党は酔いしれた。

「いい方向にいい角度で飛んでくれた。(風が)フォローだったんでね。いくかなとは思いました」

 そう話した佐藤輝はキャンプから左中間方向への長打を増やすべく、意識して打撃練習を繰り返した。意識したからといって簡単にできることではない。本人も「徐々にできてきたかと思います」と言うように、着実に技術を自分のものにしつつあるという状況だ。

江夏豊氏(中)、掛布雅之氏(右)とともに始球式に登場した田淵幸一氏
江夏豊氏(中)、掛布雅之氏(右)とともに始球式に登場した田淵幸一氏

 試合前には歴代ミスタータイガースの田淵氏、掛布雅之氏、そして江夏豊氏がサプライズゲストとしてファーストピッチセレモニーを行った。その後、田淵氏が「今年の佐藤は一味違うよ。華も持ってるし。ミスターというのは、ファンが期待して『ここで頼むよ一本』という時に打つのが条件だからね。掛布の後に誰か継いでくれるかな。そういうのが出てきたら優勝するよ」と佐藤輝に期待を寄せていた。

 そんな日に佐藤輝は、しっかりと結果を出した。田淵氏の言葉を試合後に伝え聞いた佐藤輝は「僕はしっかり結果を出すだけ。もちろん、そういうところを目指してやっていますし、できることをやりたい」と控え目ながら、力強い言葉を残した。

 球団90周年、藤川新体制でリーグ優勝を狙うチームにあって佐藤輝の存在は大きい。自己最多タイの月間7本目の一発は、明るい未来を想像させる前祝いの花火になるのかもしれない。