【取材の裏側 現場ノート】1か月前、ソフトバンク・王貞治球団会長(84)の姿は東京ドームにあった。ドジャース・大谷翔平投手(30)らが凱旋したMLB開幕シリーズを観戦。その目はNPB発展のヒントを探っているようでもあった。

 次の100年も野球が国民的スポーツであり続けてほしい――。かねて王会長は野球振興プロジェクトにまい進。昨年11月にはプロとアマが結束し、次代のスターを育成して国内の野球熱を高め、好循環を生み出す目的で「BEYOND OH! PROJECT」を立ち上げた。

 東京シリーズで王会長の視線の先にあったのは、意外にもスター選手の華やかなプレーではなかった。

「確かに大谷人気はすごかったが、メジャーリーグ機構的なことで言うと盛り上げ方がうまい。日本も勉強しないといけない。マネをする必要はないけど、日本的に新たなチャレンジをしていく必要があると感じた」

 王会長はライト層を意識した〝入り口〟を増やす必要性をかねて訴えてきた。「今の時代は常に新たなものに挑戦していく姿勢を見せないといけない。日本はどっちかっていうと、プロ野球ができて2リーグになってから受け身だった。変にはみ出さないようにっていうね。それは日本的な良さなのかもしれないが、今の時代はそういう捉え方から日本人も世界的な考えに変わってきた」

 ソーシャルメディアなどを活用した魅力の発信、アジアマーケットを意識した市場拡大に積極的な考えを持つ。「MLBは野球人が野球をやるためのビジネスって感覚じゃない。広告宣伝含めてメジャーの相手は世界。日本はどうしても日本人だけ。米国は日本、さらに野球が盛んじゃないヨーロッパもターゲット。日本も周りの盛り上げ方をもっと勉強しないといけない」。東京シリーズはグッズ売り上げだけで驚異の約60億円。王会長の提言からは、日本にもできないことはないという力強いメッセージが感じ取れた。

(ソフトバンク担当・福田孝洋)