ヤンキース傘下マイナー、ブルージェイズ、メッツ傘下マイナー、そして2023年から日本ハムで2年間プレーし、昨季限りで現役を引退した加藤豪将氏(30)が今、「過去を振り返るどころか、自分が現役選手だったのを忘れるぐらい」ブルージェイズのアナリストとして多忙なシーズンを過ごしている。

 13年6月、米国のランチョ・バーナード高校の二塁手として活躍していた加藤氏はヤンキースからドラフト2巡目(全体66番目)で指名を受けプロ入り。日本国籍を持つ選手が初めてMLBドラフトで上位指名を受け大きな話題となったが、メジャー初昇格は9年後の22年、マイナー契約を交わしたブルージェイズでようやく訪れる。初スタメンは同年4月21日、場所は奇しくもこのインタビューを行ったレッドソックスの本拠地フェンウェイパークで、初打席は四球を選び、ビシェットの適時打で生還。次の打席は二ゴロに倒れ1打数無安打1得点だった。

 加藤氏は「ブルージェイズには2、3週間くらいしかいなかったのですが、戻って来いよと言ってもらえた」。チームは献身的で人懐っこい加藤さんを必要な戦力として招き入れたのだ。

 加藤氏の役割は主に二つ。まずは自軍の野手に「自信を持って打席に入ってもらえたら」と、相手投手の投球データや、有効となる守備のポジショニングデータを提供すること。もうひとつは試合前の練習で必要な準備や片づけ、併殺プレーの捕球役を務めたりという、内野手の手伝いだ。そのため試合開始まではいつでもフィールドに出られるようユニホームのパンツと練習着を着用している。

【加藤氏と一問一答】

 ――今の仕事、具体的には?

 加藤 配球だったり、ポジショニングだったり、全30球団が持っているデータを自分たちなりにモデルを作ってやっています。選手側の目線が分かるので、数字で出したり、グラフを見せて説明しています。

 ――日米を経験した選手として言えることは?

 加藤 NPBではまだやっていないことが沢山ありますね。データ的には両方同じものがありますが、それをどうやって使うかという違いはあると思います。

 ――選手にデータを提供する一番の目的は何?

 加藤 なぜこうなっているか、なぜこういう結果が出ているのかというのを数値化できると、人間は感情を抜きに事実だけを見ることが出来ます。それはチームにとっても、選手にとっても、凄くすっきりすること。もちろん、(選手の)スキルも重要です。

 ――将来的に今の仕事を、例えば侍ジャパンなどで生かせる可能性もあるのでは?

 加藤 いやいや、僕よりも凄いアナリストが沢山いますから。ただ、(興味は)ジャパンじゃなくても、ブルージェイズじゃなくても、選手にどうにか成功してほしい、少しでも力になれたらいいという気持ちはあります。

 ――時間は短かったが、一緒にプレーしたゲレロ、ビシェット、スプリンガーらとはいい関係か?

 加藤 そうですね、給料も銀行口座(の残高)も全然違いますけど(笑い)、同じフィールドに立ったのは事実なので。

 ――給料の通貨は?

 加藤 僕はカナダの従業員として働いているのでカナダドルでもらっていますけど、みんなは米ドルです。

 ――日本ハムでの2年間はどうだった?

 加藤 もう、ファイターズを日本一にしたいという気持ちでずっといましたけど、今振り返ると、すごくいい人生経験になりました。僕はマイナーからいろんな野球をしてきて、夢だったNPBでもプレーできて、(日本で知り合った女性と)結婚するという出会いもありました。

 ――先輩後輩や、年齢を確認する日本の習慣はどの程度理解していたのか?

 加藤 知っていましたけど、自分なりに頑張ったというか、パフォーマンスが出やすいように行動していました。みんなは僕が米国人だと思っていた感じだったので、それはそれでよかったです(笑い)。

 ――このカードでは、フリー打撃を終えたレッドソックス吉田正尚選手に自分から挨拶に行った

 加藤 もちろんです。ひとつ上ですからね(笑い)。ちょうど(日米)入れ違いで、初めてでした。

 ――エスコンではロッカーが隣だった清宮幸太郎が、いつかメジャーへ移籍するかもしれない

 加藤 そうですね。でも、メジャーというか、まずファイターズを日本一にしてほしい、僕の気持ちはそれだけです。