今季から日本球界に復帰したソフトバンク・上沢直之投手(31)が6日の西武戦(みずほペイペイ)で、NPBで2年ぶりの白星を手にした。6回無失点の快投は、勝ち運に恵まれなかった前回登板に続く2試合連続の好投。移籍後初勝利は、歴史的な開幕出遅れとなったチームの連敗を阻止するとともに、本拠地初勝利をもたらす価値ある白星でもあった。
一昨年オフに日本ハムから海を渡ったが、メジャー登板は救援の2試合のみ。3Aでも20試合に投げて5勝4敗、防御率7・63という不本意な結果に終わった。公式球や要求される球種の違い、不慣れな中継ぎで体を酷使。上沢は「そういう環境の変化に、僕が対応できなかった」と最後は右ヒジを疲労骨折し、昨年9月に失意の帰国となった。
本人は本来の姿を取り戻すためには、長いプロセスが必要と理解していた。リリースまでのバランスを崩し、外旋する左足、腕が横ぶりになる癖の矯正は想像以上に根気が求められる作業。米国で居場所を見つけようともがく中で強みを失い、悪い癖がついていた。
大きな挫折を経て加入したホークスには、復活を後押ししてくれるキーマンがいた。昨オフの入団交渉の中で面談した倉野信次投手コーチ(50)だ。
倉野コーチはヒアリングを通して、右腕のフォームが大きく崩れたメカニズムを解析。「向こうで最近のトレンドを目の当たりにしていたんで、マイナーではこういう教え方するよなとか、こういうアプローチをするよなっていうのはすごくよく理解できた」。2023年まで2年間、レンジャーズにコーチ留学。精神的にも疲弊した上沢に寄り添い、明確な再生プランを提示できる希有な指導者だったことが右腕の鷹入りを強く後押した。
宮崎キャンプでは「持っているものが100としたら、米国で50くらい失われた。その50を埋める作業」(倉野コーチ)を二人三脚で進めた。開幕前に「久しぶりです」と米国時代になかった感覚を喜ぶ上沢を見て、名伯楽は復活を確信していた。
「僕の強みになるのかな…」。メジャーに渡る選手が増える一方で、再びNPBに活躍の場を求める選手もいるだろう。2年前、球団が三顧の礼で呼び戻した投手コーチの存在は、やはり大きい。












