女子プロレス「マーベラス」の〝エース〟彩羽匠(32)が、悲願の〝里村越え〟を果たした。

 10日の新宿フェイス大会で29日に現役を引退するセンダイガールズの里村明衣子(45)とシングルマッチで対戦した。彩羽にとって里村は2013年4月29日にスターダム両国大会でデビュー戦で胸を借りた先輩。そして、16年5月のマーベラス旗揚げ戦、昨年10月のマーベラス名古屋大会と対戦し、これまでの戦績は2敗1分けだ。

 気合十分の彩羽は序盤から攻めの姿勢を貫いたが、全く引かない里村に追い込まれなかなかペースを奪えない。

 10分過ぎには彩羽が蹴り技を連発し、狂喜乱舞したが側転式ニードロップをくらうと動きが止まった。さらにデスバレーボム2連発を決められ再び劣勢に。

 それでも立ち上がった彩羽はスコーピオライジングを避けると、側頭部をズバリと蹴り飛ばしシットダウン式パワーボムを決めた。ここで勝機をつかんだ彩羽はフライングニールキックからのランニング・スリー(ハイジャック式パワーボム)を見舞い、完璧な3カウントを奪った。

 憧れの先輩である長与千種に育てられた里村から念願の初勝利を奪取した彩羽は「自分はずっと長与さんを追いかけてきて、その先に手掛けている里村選手にデビューする前から嫉妬してきました。それは変な嫉妬じゃなくて、超えたいっていう一心でしかなかった。そんな里村選手に12年越しでやっと勝てた。やっとこれで自分は赤の継承者って言えるんじゃないかなと思います」感極まった表情を浮かべた。

 その上で「引退するのはすごく寂しいし、引退した後自分はどうなるんだろうって思うけどここからが本当の勝負。この間、橋本千紘も里村選手に勝って、今やっと橋本と対等に立てた気がします。だから仙女が5年以内に日本武道館目指すって言ってますけど、マーベラスも日本武道館目指します」と宣戦布告し長与をリングに呼び出した。

 すると、長与から「弟子を育てるっていうのは学ばされることです。私は毎回学ばされてます。私は弟子に恵まれました」と笑顔で語られた。くしくもこの日は2005年4月10日に行われた長与の引退試合の日だった。長与から「20年前の今日私は里村明衣子と戦って引退した。プロレスってなんかすてきですよね」と笑いかけられ「自分の思うようにやったらいい。ただ忘れてはいけないのはどんな相手でも敬意を持って試合をすること。そしてそこにお客さまがいてくれることを忘れない。それが赤の継承者です。おめでとう。継承しました。マーベラスを頼みますよ」と語りかけられると、彩羽は大号泣した。

 里村からも「長与さん、今日は負けましたけど、29日に引退しますけど、これで終わりじゃないです。長与さんがプロレス界にいる限り、私は負けません! 彩羽、今日の決意を忘れるなよ。今日の悔しさは橋本に晴らしてもらいますよ」とにらみつけられた。

 里村の言葉に彩羽は「そんなの最初から決まってますよ。日本武道館向こうより先にやってやる。仙女に、橋本に負けない」と対抗心をむき出しにし里村と握手を交わした。