阪神は4日の巨人戦(東京ドーム)に7―2で快勝し、引き分けを挟んだ連敗は3でストップ。投打がかみ合った充実の試合内容で勝率を5割に戻した。指揮官として初となる伝統の一戦を白星で飾った藤川球児監督(44)も、試合後は安どの表情。現役時代から人一倍意識してきた宿敵球団には、抱く思いも強いようだ――。

 3―1と僅差リードの7回。二死満塁から木浪が走者一掃の左翼線適時打をマークした瞬間、虎指揮官は大きな声で何かを叫びながら拳を何度も降り下ろした。チームはここまで連敗中。前夜3日のDeNA戦(京セラ)では審判団の微妙な判定が敗戦に直結するなど嫌な流れにものまれかけていただけに、勝利を大きくたぐり寄せる満塁男の一撃には感情を押し殺すことができなかった。

 初回から仕掛け続けた積極的な走塁策なども含め、出せるカードは惜しみなく切った。大差6点をリードした9回には、リリーフエースの石井もマウンドに投入。石橋を入念にたたいた継投策について尋ねられた試合後の指揮官は「まあジャイアンツさんとの初戦ですから。(今年の阪神が)どういったチームであるかは示さねばならなかった」とセ・リーグの前年度王者の実力を強く意識していたと明かした。

「先人たちの思いもありますから、監督をしている以上は当然」と巨人への対抗意識を隠そうとしなかった藤川監督だが、幼少期は斎藤雅樹氏(巨人OB)に強く憧れていたという巨人ファン。タテジマを身にまとい、全身の血を黄色と黒に染めて以降は愛憎入り交じる名勝負数え唄をGの強打者たちと繰り広げてきた。

 昨秋の指揮官就任以降は、チームのトップとして他球団への言及を極力避けてきた。そんな藤川監督だが、自身の現役引退会見の場ですら「『俺みたいに辞めていく選手に勝てないようじゃ巨人には勝てない』と後輩たちに伝えた。相手は原監督(当時)だし」「伝統の一戦は西対東。東対西。スポーツの世界だけの話ではない。阪神に入った時から18年、そういう教育があった」など、あふれ出す打倒巨人への思いを熱弁していたほど。指揮官として初めて臨んだこの日のTG決戦が、藤川監督にとってどれだけ大きな意味を持っていたかについては、容易に想像がつく。

 1950年の2リーグ分立から数えて、伝統の一戦は阪神の804勝1043敗74分け。勝敗数も優勝回数も遠く及んでいないことは百も承知だが、それでもこのチームだけには負けたくない。背番号22の拳に今も燃え続ける火の玉は、虎の反骨精神の象徴だ。