【モデルボクサー 高野人母美 9頭身ファイターの告白(16)】前回まで2回にわたって計量パフォーマンスのお話をさせていただきましたが、リング上のことを少し振り返ると、2015年11月の世界初挑戦でKO負け。16年6月に再起戦を組んでいただいたにもかかわらず、試合前の5月に「この試合を最後に引退する」と宣言してしまい、協栄ジムの金平桂一郎会長を激怒させて、この試合は流れてしまいました。

小橋建太のチョップを受ける高野人母美(16年8月)
小橋建太のチョップを受ける高野人母美(16年8月)

 再起戦は16年10月まで待つことになり、その間に尚美学園大学で、特別講師を務めさせていただきました。しかもプロレスラーとしてご活躍された、小橋建太さんとご一緒だったのです。担当は高校生を対象としたオープンキャンパス。これまでの経験を生かして何を伝えることができるのかということを考えたら、タメになるのかはわからないですけど、自己表現だったり、フィットネスの部分なんじゃないかと思いました。

 その一つとして、どんどん前に出ていく気持ちを養ってもらおうと、生徒にファッションショーをしてもらいました。男女関係なく3人ずつ、みんなの前でモデルウオークをしてもらいました。最初は恥ずかしがりながら歩いたりしていましたが、だんだん慣れていくと自分からポージングなんてしちゃう子もいたり、楽しかったですね。

 小橋さんと一緒に講義したこともあるのですが、強烈に覚えているのは、代名詞であるチョップを受けた時です。自分から気合を入れてもらおうと志願したら「エッ、いいの?」と遠慮がちに言ってくれたので「弱めにやってくださいね」と念押ししましたが、見事に裏切られました。本当に痛かったですし、呼吸どころか心臓が止まるんじゃないかというくらいの衝撃でした。こういうときって、結構ガチだったんだなと実体験で感じることができました。

 東スポさんには対談の場もつくってもらいました。ちょうど大会が終わった直後だったので、16年リオデジャネイロ五輪が話題の中心でした。その時、金メダルを期待されながら銀メダルと悔しい思いをしたレスリング女子の吉田沙保里さんについて「銀メダルを取って『ごめんなさい』と言えるのは本物の選手なんだなと思いました。涙しました…」と話しましたね。それに競泳男子で金メダルを獲得した萩野公介さんのことも言ってました。

 その時は、約1年ぶりの再起戦の日時も決まっていました。引退発言のことで金平会長や当時所属の事務所に迷惑をかけてしまったことを踏まえ「もう一度ボクシングをやって何らかの形で恩返しができればと思っています」との誓いを立てていました。というわけで、次回は引退撤回、再起戦からのボクシングキャリアについて振り返りたいと思います。