プロ12年目の阪神・梅野隆太郎捕手(33)が元気いっぱいだ。藤川新監督は就任時に「力がないベテランは必要ない」と宣言したが、キャンプで精力的に汗を流す背番号2に「心強い」と目を細めている。昨季まで2年連続で出場100試合を下回ったが、復調の兆しはどこにあるのか。本紙評論家の前田幸長氏が本人を直撃した。

【前田幸長「直球勝負」】各球団のキャンプを巡った中で最も気になっていた選手が梅野だ。私は福岡県筑紫郡那珂川町(現・那珂川市)出身で福岡第一高からロッテ入りしたが、彼とは同郷でお互いの実家はわずか数分の〝ご近所さん〟。そんな縁もあってプロ入りしてから陰ながらずっと応援してきた。

 梅野は昨年のキャンプで右肩を肉離れし、調整が遅れたまま開幕を迎えて95試合の出場にとどまった。球団生え抜き捕手初の通算1000試合出場を達成したものの、打率2割9厘、0本塁打、15打点と不本意な成績でチームも球団初のリーグ連覇を逃した。悔しさが残るシーズンだっただけに、ベテランの奮起にかける思いを直接聞いてみたかった。

 すると「ここ2年ぐらいは肩の調子が良くなかった」と打ち明けてくれた。その上で「でも今年は肩に不安がない。とてもいい状態でシーズンに臨める」と明るい表情で語ってくれた。ついに打力や守備、肩などが衰えるタイミングがきたのかとも思ったが、ここまでケガもなく準備がしっかりできているのは安心材料だ。

 自身のコンディション面だけでなく、捕手としてチーム全体を見据えてV奪回に貢献しようと腐心している。よく9、10月の終盤の勝利は大事というが、梅野の考えは「1勝は1勝」。前半戦も後半戦も勝利の価値は同じとみており「昨季は終盤に力尽きたと言われているけど、中盤以降のことではなく、まずは開幕からスタートダッシュを決めたい」と鼻息を荒くしていた。選手として全143試合を俯瞰して見ているのはさすがだ。

 さらに印象に残ったのは「チームが連勝している時は勢いでうまくいっているけど、連敗している時の1勝はめちゃくちゃしんどい。超接戦とかで何とか競り勝って止まる印象。そこは捕手としてマネジメントしていきたいし、そこが一番醍醐味」と腕をぶしていたこと。何とも頼もしい限りで、今季の復活次第では扇の要として40歳現役も夢ではないだろう。

(本紙評論家)