【韓国ソウル21日発】ドジャース・大谷翔平投手(29)の通訳を務めていた水原一平氏(39)による「巨額窃盗疑惑」が報じられ、チームには激震が走った。同氏は大谷の口座から450万ドル(約6億8000万円)を搾取。違法賭博に手を染めていたとみられ、球団は解雇を決定した。チームに与えた衝撃は計り知れず、特に大谷への悪影響が懸念される。複数の米メディアから「オオタニ自身が説明すべき」との声も上がる中、現場の緊張は高まる一方。今後も予断を許さない状況が続く――。

「青天のへきれき」とは、まさにこのことだろう。ここまで大谷の通訳を務めてきた水原氏が巨額窃盗疑惑でドジャースから即日解雇処分を受けた当日、チーム内は不穏な空気に包まれた。パドレスと開幕2戦目を戦うため、13時過ぎに会場の高尺スカイドームに到着した首脳陣やナインの表情は一様に暗い表情。前日の開幕戦で逆転勝ちしたお祭りムードは完全に吹き飛ばされていた。

 15時にクラブハウスが報道陣に開放されても、大谷を含めた主力選手の大半は姿を現さず、奥の部屋にこもったままだった。普段なら軽快な音楽が大音量で流れるはずの場も、この日ばかりは〝お通夜状態〟。チームスタッフが報道陣の動きに対し、遠巻きに終始目を配る異様な静寂が続いた。

 直後の15時15分からはロバーツ監督の公式記者会見が球場地下のインタビュールームで開始。だが指揮官は水原氏の解雇について「私からは何もコメントできない」。追及の手を緩めないメディアから矢継ぎ早に同じ質問を向けられても「コメントできないんだ」と繰り返すばかり。温厚で知られる指揮官が眉間にしわを寄せ、珍しく険しい表情を見せるなど一時緊迫したムードに包まれた。

 それにしてもなぜ、大谷を含めドジャースの面々は〝水原問題〟に口をつぐむのか。米メディア関係者の1人は「オオタニを守るために球団側がかん口令を敷いたのでは」とし、こう続ける。「オオタニの代理人弁護士がイッペイ(水原氏)を告発したとはいえ、まだ疑惑の段階。それに現時点ではイッペイが自分1人でオオタニの口座から資金を窃盗、違法賭博を行ったとされているが…。仮にオオタニがイッペイの借金を肩代わりした事実が確認されれば『ほう助』という罪状で(米当局の)捜査対象になりかねない。そんなデリケートな問題だけに、チームとしても『誰も余計なことは話すな』ということなのだろう」

 こうした背景を踏まえた上で「疑惑を払拭するためにもオオタニが一度、自らの口で説明した方がいい。そうしないと、相手のことを一切明かさなかった結婚の時と同様、ずっとメディアに追い回されることになりかねない」とも忠告する。

 球団スタッフによれば、すでに水原氏はチーム宿舎やロッカーから私物を撤去しており「居場所は不明」という。前日20日にはこれまで通り大谷の通訳業務を何事もなくこなしていた同氏は解雇通告を受けた後、一体どこへ雲隠れしてしまったのか――。

 試合前練習こそグラウンドに現れなかった大谷だったが、この日のパドレス戦には「2番・DH」で先発出場。5打数1安打1打点をマークしたが、1点差に迫った8回二死二塁の好機で一ゴロに倒れるなど第3打席以降は快音が響かないまま不完全燃焼で打ち止めとなった。

 連勝ならず苦杯を喫した大谷は試合後に「お疲れ様でした」と4回繰り返して球場を後にし、チームとともにチャーター便で米国へUターン。水原氏の行く末と同様、大谷の今後も注目される。