この男にしか歩めない道があるのかもしれない――。20日にMLB初となる韓国で行われた歴史的な開幕戦(高尺スカイドーム)に臨んだパドレス・ダルビッシュ有投手(37)。大谷翔平投手(29)を擁する最強軍団ドジャース戦に先発して、4回途中1失点(自責0)の好投を見せた。
誰も踏み入れていないまっさらなマウンドに立ち、いきなり大谷と相対した。初回一死で迎えた初対決は遊ゴロで、まずは先輩に軍配が上がった。「なんか不思議な感じがした」。続く3回の対戦では痛烈な打球を右前へ運ばれ、リベンジされた。「打たれた後、ニコッとしてしまった。情が入ってたんだなと思った」。2度の真剣勝負は〝1勝1敗〟という日本のファンには、ほほ笑ましい結果となった。
大谷は名実ともに世界最高の選手に駆け上がったが、ダルビッシュもひけをとらない唯一無二の評価を得ている。経験豊富なMLBスカウトは真顔で、今年8月に38歳を迎える右腕の未来をこう予想する。
「彼は50歳まで投げられる。私は本当にそう思っています」
昨年2月、とりわけ年齢にシビアなメジャーで衝撃的な契約を結んだ。28年まで6年間の契約延長。総額1億800万ドル(約164億円)で42歳シーズンまで現役を保証された。前出のベテランスカウトはこうも続ける。
「彼は『投げる哲学者』や『教授』とも呼ばれている。それほど博識であり、自分を律する姿がリスペクトされている。投球技術は超一級品。投げる以外の栄養面や肉体の構造を理解するアプローチを含め、彼ほど探求心のある選手はいない。そういった知性もあって、彼が衰えていく姿を想像できない人が多いんです」
メジャーには最年長勝利記録を塗り変えるなど49歳まで一線級で活躍した伝説的左腕のジェイミー・モイヤーがいた。そのMLBかいわいでは今や「ダルがジェイミーを超えていくかもしれない」と言われるほど。浮世離れした話ではなく、真剣に語られるところがダルビッシュのすごみだ。
かつて甲子園を沸かせ、高卒3年目の21歳でNPB最高栄誉の沢村賞を獲得した右腕。37歳でエースとして最高峰のMLBで開幕投手を務めている時点ですでに偉業だ。投げる哲学者のゴールはまだまだ先にある。












