不遇に映れば映るほど、チームの総合力は上がっている。ソフトバンクの中村晃外野手(34)は、今春オープン戦で好調な打撃をアピール。14日、巨人とのオープン戦(ペイペイ)は6回に代打出場して一ゴロに倒れたが、ここまで17打数6安打、打率3割5分3厘と存在感を放っている。
プロ野球の開幕は特別なゲームだ。ただ、中村晃が栄えある「開幕スタメン」に名を連ねる可能性は少ない。チームはオフに補強ポイントだった「右の長距離砲」をダブルで獲得。本塁打王3度の実績を引っさげて西武からFA加入した山川は、今春の対外試合で結果を残し、定位置の「4番・一塁」をすんなり手中に収めた。「DH」は、巨人からトレード移籍で加わったウォーカーが〝新助っ人枠〟で優先的に開幕の座をつかむ公算だ。小久保監督は「(ウォーカーは)外国人なので、ある程度は見ないといけない。そこは我慢する」と、球界のセオリー通りに起用法を示唆。主戦場がかぶる中村晃が割を食う形となった。
主力に有事がなければ開幕ベンチが決定的。ただ、そんな中村晃が輝きを放てば放つほどチーム内の空気は引き締まり、総合力は押し上げられる。村松打撃コーチは「山川にしてもウォーカーにしても、他のスタメンで出る選手たちも、中村がベンチに座る姿が目に入れば、当然、何かを感じる。若い選手もグチを吐かず後ろ向きな姿を一切見せない中村を見て学ぶ」と、チームの競争意識をあおる存在であることを力説。中村晃自身も立場を理解した上でこう語る。「(周りに与える影響は)あると思いますし、感じています。若い選手も見ている。自分としては、監督にとって〝うれしい悩み〟を増やせればいいなって思って、今やっています」。
この春、小久保監督も鷹の背番号7を常に気にかけてきた。指揮官の気遣いに中村晃は「たくさんフォローしてもらって、頑張ろうという気持ち。本当に気持ちよくやらせてもらっています」と感謝する。
実績十分で結果を残しても出番を確保できない葛藤は当然ある。だが、そうした境遇だからこそ中村晃のプライスレスな唯一無二の価値がクローズアップされている。












