4年ぶりのV奪回を目指す巨人でリリーフ陣の再建を託されたのが、新任の内海哲也投手コーチ(41)だ。昨季の救援防御率はリーグ最悪の3・81。2018年オフに人的補償で西武に移籍して以来の巨人復帰となったが、指導者として2年目を迎えた元エース左腕はひと回りも下の世代の選手たちとどう向き合っているのか。本紙評論家・前田幸長氏にのぞかせた厳しい一面とは――。

【前田幸長 直球勝負】巨人に帰ってきたテツが奮闘している。ここ数年の巨人は終盤にリリーフ陣が試合をひっくり返されるケースが目についた。防御率の悪さはもちろんのこと、失点にはほとんど四球が絡んでいた。これは「技術不足」と言うほかない。杉内投手チーフコーチを支えながら、主にブルペンを担当するテツの役割は極めて重要だ。

 昨季は西武でファーム投手コーチを務めたテツが、指導者となってどう変わったのか。かつて投手リーダーだった人間としての「内海哲也」は何も変わっていなかった。いつものように明るくポジティブ。投手陣の台所事情を聞けば、スラスラと個人名を挙げ「選ぶのは杉内さんですけど」と底抜けの笑顔を見せてくれた。

 しかし、枠には限りがある。勝つために、心を鬼にして見極めていかなければならない。テツは功労者の一人ではあるが、若返った投手陣とは“年齢の壁”もある。かつての頭ごなしに物申す指導法を全て否定するつもりはないが、今は時代も異なる。その点を掘り下げてみると、時代にフィットさせつつドライな一面も垣間見ることができた。

「今の子は難しい。時代は違いますね」。聞けば、キャンプ中に自ら助言を求めに来た選手はほとんどいなかったそうだ。
「今の子は自分が理想とする球を投げたがる。自分の理論を持っている子も多い。本当に失敗しても、自分の理想を追い続けると思います。自分の理論だけで成功する子もいると思うので、それはそれでいいです」

 そこに異論はない。昨今は動画サイトやインターネットなどで、さまざまな知識と情報を得ることができる。最短距離で“答え”を見つけ、実践できる選手もいるだろう。

 ただ、テツも「バッターに対してどう立ち回るかを考えていないですよね」と言った通り「今は150キロを投げても打たれるんです。遅い球を投げて、いかに打者のタイミングをズラそうかと考えたピッチャーが何人いたのかな」という“投球術”に目を向けているのかには疑問が残った。そして、テツはこうも言った。

「こちらが『それじゃダメだよ』と思っても『自分の理想を追い続けるならいいんじゃない?』って。もちろん素直な子もいるので、その子たちだけ活躍すればいいと思っています。それも全てが“気づき”です。(誰かが聞きに)来た時のためにしっかり言えるように準備はしています」

 相手の打者を抑えてこそ投手として評価され、生き残れるプロの世界。取捨選択し、どう生きていくかは自分次第だ。悔いなく野球人生を送る上でも、個人的には幾多の修羅場をくぐり抜けてきたテツの言葉に耳を傾けてほしい。