巨人が新設されたばかりの台北ドームで、2日から2試合の親善試合に臨む。昨年末に完成したばかりの新球場で行われるプロ野球初ゲーム、〝こけら落とし〟は現地の注目もうなぎ上りとなっている一方、その裏では球団と台湾側のそれぞれの「思惑」も隠されている。

 台湾のプロ球団との試合に向け、チームは1日に同球場で練習を行った。午前9時から調整を始めたが、異様だったのは当地の注目の高さだ。グラウンドには100人近くの現地メディアや関係者などが集結。テレビカメラは20台以上、インタビューが始まれば、30本以上のマイクやICレコーダーが向けられた。

 阿部慎之助監督(44)も現地メディアの取材に応じ「本当は監督としてではなく選手としてやりたかったな、と思うぐらい素晴らしい球場」と感想を述べ「台湾には日本からたくさんの指導者が行っているのも知っていますので、日本と台湾がすごくいい関係にあるのは分かります。日本の野球が台湾に広がるのもすごくいいことだと思います」と語った。

 2024年は巨人にとって球団創設90周年の節目の年。一方の台湾球界にとっては実質的な〝台北ドーム元年〟となる。双方のメモリアルイヤーを記念した親善試合ではあるが、お互いに別の思惑もあった。

 巨人では古くは1980年代に呂明賜、2010年代には陽岱鋼が在籍するなど、数多くの台湾出身選手がプレー。台湾球界ともつながりも深かったが、現在では日本ハムなど強固な関係を築く球団も増えている。チーム関係者は「次代の選手を発掘するためにも、台湾球界と今以上に太いパイプを再構築することが必要。球団としては今回の開催を機に、台湾とより強い絆で結ばれれば」と狙いを明かした。

台北ドームの外観
台北ドームの外観

 台湾サイドにも思惑はある。開催地となる新球場・台北ドームで盛り上がりを見せるためだ。台湾球界関係者は「台北ドームがようやく完成したことで、球界はこれまで以上に盛り上がりをみせている。この1年は全球団にとって大きな転換期になる」と断言。そして、別の関係者は新球場の意外なネックについても明かした。

「台北ドームの使用料が高額で、いまだにフランチャイズ契約を締結してる球団はないんです。今回の親善試合開催が起爆剤となって集客力が上がれば、新球場は大きな存在となるはず」

 台湾での1試合当たりの平均集客数は4000~5000人とされる一方で、台北ドームの最大収容人数は約4万人と桁違いのキャパシティーを誇る。開催規模によって経費は変動するものの、最大で1試合1000万円以上の使用料が発生する場合もあるという。当然、台湾球団側としては高額な使用料を支払うため、これまで以上の集客が求められる。

 巨人と台湾球界がそれぞれの思いを抱いて開催にこぎつけたビッグイベント。成功に終われば、さらなる発展の足がかりとなりそうだ。