さらなる飛躍を遂げるのか。日本ハム・万波中正外野手(23)が昨季、25本塁打をマークするなどブレークを果たした。球団OBで野球評論家の柏原純一氏(71)も期待に胸を膨らませているが、新庄剛志監督(52)はまさかの〝トーンダウン〟。その思いと納得の理由とは――。

【柏原純一「烈眼」】控えめな期待は、むしろ〝信頼の証し〟と言えそうだ。新庄監督と話し込んだ際、25本塁打、74打点と才能を開花させた万波の話題にも及んだ。

 2年連続で最下位となったチームにとって、彼の成長は数少ない収穫。新庄監督も「もう脚力と肩は、どこに行ってもレギュラーを取れると思います。今年、ウチでポジション、レギュラーが決まっているのは彼だけ」と、ことさらうれしそうに話してくれた。

 彼の一番の魅力は、球界トップクラスの打球速度を計測するライナー性の打球。昨季も2割6分5厘と一定のアベレージを残しただけに、その確率も向上すればチームの勝利に直結する打点も増えるのでは…。そう話を向けたところ、新庄監督からは意外な答えが返ってきた。

「いやいや、今年の彼は昨年並みの数字を挙げればいいと思っています。〝現状維持〟でも大したものだと思います」

 今年の彼はホップ・ステップ・ジャンプの中で、間違いなく大きな飛躍を遂げる「ジャンプ」の年。OBのひいき目も込めて、そんな期待もしていただけに一歩引いた指揮官の見立てに私もやや驚いた。ただ、その言葉の真意を聞くと納得した。

 これも成長の証しとも言えるが、昨季までとはチーム内外から見た万波の立場が違うためだ。新庄監督の中で今季の万波は「期待」ではなく、すでに「計算」している数少ない選手。日本ハムの野手層は薄く、他球団と比較しても打線の厚みの部分で劣ることは否めない。となれば、ライバル球団は打線の中核となる万波を徹底マークしてくる。さしたる実績もなかった昨季とは一転して、今季は配球面でも厳しいものになる。

 新庄監督も現役時代、同様に打線が弱かった阪神時代に4番を務めた経験がある。敵からマークされる中で、チームから求められる働きに応えることがいかに大変か。身をもって知っているがゆえに、期待も〝控えめ〟なのだろう。

 もちろん、昨季以上の成績を残してくれるに越したことはない。ただ、ここから先のステージは自分の力で切り開くもの。日本ハムの看板選手から球界を代表する強打者へ――。新庄監督の「大人扱い」に応えるべく、23歳の若武者にはぜひもうひと皮むけてもらいたい。(野球評論家)