勇人よ、必ず打ってくれ。巨人元ヘッドコーチで東京スポーツ専属評論家の伊原春樹氏が、巨人キャンプを訪問。今季から三塁に本格転向する坂本勇人内野手(35)と4年ぶりの対面を果たすと、愛する教え子へ、遊撃とは異なる「三塁手の心得」を直接伝授した。NPB史上2人目の3000安打まで、残すは679本。大台チャレンジへの熱い激励に背番号6の反応は――。

坂本(右)に三塁守備をレクチャーした伊原氏(手前)。左は亀井コーチ
坂本(右)に三塁守備をレクチャーした伊原氏(手前)。左は亀井コーチ

【新鬼の手帳・伊原春樹】昨春は故障の具合がどうかとヤキモキしていたが、4年ぶりに会った坂本勇人がまずは元気そうで安心した。私の姿が見えると、いつものスマイルで迎えてくれた。「今年は大丈夫です!」との言葉通り、体のキレは良さそうだ。

 私がヘッドコーチだった2000年代後半は、若さがほとばしり、二岡から遊撃のポジションを奪おうとしていた時分。それから約15年も遊撃を守ったのだから大したものだ。三塁転向は前向きに捉え、残る野球人生で目指してもらいたいのは毎度のことだが「3000安打」である。

 ちょうど打撃ケージ裏からランチ特打の振りを間近に見させてもらったが、他の主力級と並んでも、まだまだ打球の「音」が違う。本人は「打てますかねえ」という反応だったが、打者としての力は衰えていない。

 1年で130本打てば、あと5年ほどで大台へ届く。ここからは、そこまで試合に出続けるための守備力が大事。選手としての私は坂本勇人という大打者と比較できたものではないが、それでも元三塁手のはしくれとして、せんえつながらアドバイスをさせてもらった。

 遊撃手はその守備範囲の広さゆえ、動きを意識しながら準備する。一方で、三塁手は任された範囲の中で一瞬の反応が勝負。準備の姿勢から異なる。具体的には遊撃手よりさらにグッと腰の位置を落とし、極力低い姿勢を保ち、静止する。打球に対する集中力を上げ、初動のスピードを意識することだ。

 勇人は同僚たちのフリー打撃の間、早速三塁で打球への反応を確かめていた。その間、近くで見守っていた亀井コーチに「何としてでも勇人に3000本を打たせてやってくれよ」と頼むと「はい、僕らもバックアップします」と約束してくれた。阿部監督をはじめ気心知れた首脳陣に囲まれているのはプラスに働くはずだ。

 今回はもう一人、長野の元気な顔が見られたこともうれしかった。あの彼が今やチーム最年長とは…。私も年を取るはずだ。もちろん、彼にも「勇人がまた余計なことで騒がれないように、グラウンド外はお前さんがしっかり見張ってくれよ」と念押ししておいた。

 最後にしつこいようだが、勇人よ、3000安打を必ず打ってくれ。欲を言えば、日本記録の3085本まで打って、張本勲さんのコメントを一緒に聞こうじゃないか。
(本紙専属評論家)