チーム内でひそかに「練習の虫対決」が注目されている。ソフトバンクにFA加入した山川穂高内野手(32)が宮崎春季キャンプ初日の1日、早朝出勤で鷹デビュー。球場への一番乗りは近藤健介外野手(30)に譲ったが、チーム本隊よりも30分以上前に球場入りする心掛けと実行力は「◎」だった。西武から紆余曲折を経ての移籍。新天地で何より大切なファーストコンタクトは上々だった。
野球界の正月と言われる「2・1」は、とりわけ移籍組にとって重要な一日だったはずだ。一般社会においても第一印象は、その後を占う。午前7時45分、1台のタクシーがアイビースタジアムに横づけされた。ファンの数は10人程度。牧原大とともに快活にあいさつして球場入りした。
山川は「一番最初なので流れが分かるまでは早く来たい。流れが分かってからも、僕はわりかしグラウンドにいるタイプですが…」と早朝出勤の意図を説明し「遅くまで残りたい気持ちもありますが、流れが分からないままずっといると、思ったよりも体が張って思わぬケガをするのもイヤ。もう少しやりたいと思うところで、最初のクールはやめとこうと思います」と故障予防を最優先に、この日は主力組と一緒に午後2時発の送迎バスに乗り込んだ。
周囲が想定していた通りの光景だったのかもしれない。「コンちゃん(近藤)と山川が最初に来て最後に帰るかもしれない」。そんな声が宮崎での球春を前にチーム内から上がっていた。ともに球界内では有名な「練習の虫」。この日は近藤がチーム一番乗りで球場入りし、注目の〝ポールポジション争い〟を制したが、山川の心掛けに周囲の反応は言うまでもなく上々だった。第1クールのオーバーワークを避ける考えが、選手個人にもチームのマネジメントとしてもある。ただ、徐々にエンジンがかかってくれば、練習量は西武時代からの触れ込み通り大幅に増すとみられる。近藤とともにバットを振り込む姿は、ホークスキャンプの恒例となるはずだ。
女性スキャンダルを経て賛否両論あった西武からの移籍。ファンのアレルギー反応はいまだ根強い。ただ前を向いて、批判を声援に変える行動を日々示していくしかない。その第一歩は、まず新天地で受け入れられること。キャンプ初日の早朝出勤は、たとえ外野から〝ポーズ〟とうがった見方をされようが、その事実が重かった。
他球団の主力を強奪して若手の枠を奪う負のイメージがつきまとうFA移籍だが、昨オフの近藤に続き、今オフの山川も球界随一の練習量を誇るだけに、野球に向き合う姿勢は手本となる存在と言える。チームの精神的支柱である柳田や和田、王会長らとも円滑にコミュニケーションを交わし、特別な初日を終えた山川。スムーズに鷹デビューを果たした意義は大きい。












