新たな〝鯉の役者〟の出現が待ち望まれている。就任2年目の広島・新井貴浩監督(47)は選手らとともに1月31日に春季キャンプ地の宮崎・日南入り。1日のキャンプインを前に「よっしゃあ、もう一丁、やったるで、みたいな感じ」と決意をあらわにした。監督初年度の昨季は頂点まであと一歩に迫りながらリーグ2位に終わっただけに、その声にも力がこもった。

 とはいえ現状では前年と比較し、戦力ダウンは否めない。昨季まで中軸を担った西川が国内FA権を行使してオリックスへ移籍。4人の新外国人もNPBでの実力は未知数だ。期待こそ抱けるにしても計算はできないのが実情だろう。

 そんな中、注目されるのが指揮官の一言一句。新井監督は就任以降、選手を極力褒めて伸ばすことに注力してきた。

 その考え方は評論家時代に多くの監督との対話を通じ、培ったものとされている。中でも深く感銘を受けたのが当時、日本ハムの指揮官だった栗山監督の指導理念だ。あくまで対話を重視し、成長させるための環境と機会を与えれば、その思いに選手は応えてくれるはず――。そうした「信じて待つ」方針を1年目は貫いた。

 一方で日本ハム時代の栗山監督には例外もあった。そして、それこそが次代の主力を育てる術でもあった。2012年のMVP・吉川にはシーズン前から「今年ダメならオレがユニホームを脱がす」と〝最後通告〟を突き付け、同年に4番に据えた中田(中日)が1試合2発でも「普通です。毎試合それぐらい打つものと思っている」と〝塩談話〟を連発。若かりしころの大谷(ドジャース)に対しては、もっと過激だった。故障で試合を欠場しようものなら「何やってんだよ! ふざけんじゃねぇよ! ったく! ちゃんとやれって言ってんだよ!」などとかみついた。時には「放送コード」に抵触するギリギリの禁句ワードまで飛び出した。

 もちろん、これらはいずれも栗山監督の愛情と特別な期待の裏返し。チームの命運を背負うべき人材には、あえて厳しい発信を続けるのも〝栗山流〟だった。

 赤ヘルも新時代を担う主力の台頭が大きなテーマとなっている。「全員に(開幕一軍やレギュラーの)可能性はあるよと言ったので。楽しみにしています」とは新井監督の弁。期待を寄せるメンバーの中から、かつての日本ハム・栗山監督のように厳しく接する〝強化指定選手〟が今後出てくることになるかもしれない。