〝日本の至宝〟が覚醒した理由とは――。元日本代表FW武田修宏氏(56)が森保ジャパンの一員としてアジアカップ(12日開幕、カタール)に臨むスペイン1部レアル・ソシエダードMF久保建英(22)をFC東京時代に指導した中村忠氏(52=現東京Vアカデミー・ヘッド・オブ・コーチング)と対談した。今シーズン久保がゴールを量産した裏には壮絶な努力とともに、元日本代表ストライカーの佐藤寿人(41)の的確な助言があったという。(全3回の2回目)
武田氏(以下武田)久保選手はJ1FC東京時代から守備面で物足りなさが指摘されていたよね。
中村氏(以下中村)もともと賢い選手で守備もできるんですよ。ただ(FC東京U―18時代は)守備に力を注がないというか。体も小さくて体力もある方ではないので攻撃にウエートを置いていた。FC東京では主力に定着できなかったので試合に出るため、守備に力を使うというようになりましたね。
武田 スペインに移籍した後も守備のところはかなり言われていた。試合を見ても「もうちょっと…」って思う試合があったから。でも今はしっかり追うし、ボールも奪えるようになったって感じだね。
中村 僕もスペインの試合を見ているけど、タケフサがボールを奪う回数は確実に増えているし2度追い、3度追い、前線からプレッシングとか普通にやっているんで。守備に対する意識はスペインに行ってからかなり変わりました。
武田 守備もしっかりやるからこそチームメートも久保選手を信頼してパスを出してくれるようになるんじゃない? 連係力も高まる。相乗効果はあるだろうね。それと育成に関わる指導者として、久保のようなすごい選手っているの?
中村 FC東京の松木(玖生)です。青森山田高校時代に見て「すぐにプロでやれる」と思いました。彼はフィジカルと言われていますけど、実は技術力も高い。それとメンタリティーがいい。近い将来日本代表になります。彼は(元日本代表MF)稲本(潤一=南SC)みたいなイメージですね。
武田 松木はそうだろうな。俺も高校時代から「代表になる」って思ってた。ほかにもいる?
中村 サッカー小僧だったのは東京Vで見ていた中島翔哉(浦和)と小林祐希(札幌)。この2人は中学生のとき「うまいけど…」という選手でした。でもユースに昇格してから努力して練習して、日本代表にも選ばれました。ただタケフサは中2で見たときからすごかったんで。技術、判断は大人以上。あとは経験とフィジカルだけでした。中3でJデビューしたとき、相手につぶされてプレーできなかったけど2戦目には普通にやれていた。学習能力も高いし改めて感心しました。
武田 久保選手は昨季からゴールも取れる選手になったよね。決定力とか、シュート力とかも進化している。
中村 今は前を向いたら止められない。本人は昨年から決定力をかなり意識していて、シュートをたくさん打つということをシーズン前から心がけていましたね。(元日本代表FW佐藤)寿人に教わって、ゴールが取れるようになったと…。
武田 点を取るのは教えられるものではないけど。久保選手もアドバイスを聞いて自分に合う意見がもらえたことが覚醒した理由かも。寿人は本当にいいやつだから。
中村 タケフサのお父さんと同級生なのでたまに連絡して、状況を聞いてます。タケフサともLINEで連絡するんですけど、昨年から得点は意識してやっているって。しっかりと取り組んだ結果が出ているので、有言実行の選手ですよ。
武田 ミニラ(中村の愛称)は、久保選手がバルセロナ下部組織時代にたくさん点を取っていたのに、プロで取れなくなったのは、相手のフィジカルやスピードなどタイミングが変わってきたからと言ってたじゃん。時間はかかったけど、合わせたってことだね。
中村 タケフサの場合は慣れもあるけど、自分に何が足りなかったのかとか、シュートの意識、間合いとか、自分で考えたり、学んだり、努力した結果なので。結局、それができる子なんですよ。課題と向き合ってクリアしていく。その能力がすごいんです。壁が高いと、乗り越えるのに時間は増えますけど、それを克服する努力ができる。
(3回目に続く)












