アジアカップ(12日開幕、カタール)を前に、元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)がスペイン1部レアル・ソシエダードMF久保建英(22)をFC東京時代に指導した中村忠氏(52=現東京Vアカデミー・オブ・ヘッド・コーチング)と対談し〝至宝〟の進化に迫った。久保と同じ15歳でJデビューしたFW森本貴幸(35=アクラガス)との比較や黄金期の「ヴェルディ」でプレーできたかについて語り合った。(全3回の1回目)

 武田氏(以下武田)J1昇格おめでとう。プレーオフ決勝(12月2日)はいい試合だったし、OBとして素直にうれしいよ。

 中村氏(以下中村)16年ぶりですからね。東京Vに戻ってきて2年目ですけど、アカデミー出身の選手もたくさん出ていて良かったです。今の役職? 肩書はアカデミー・ヘッド・オブ・コーチング。ダイレクターと一緒にまとめるような立場です。

 武田 育成の指導者として活動しているけど、トップレベルになれる選手の共通点は? FC東京時代に久保を見て感じたものはなにかな。

 中村 僕ら指導者が見ていないところでも練習する負けず嫌いな選手ですかね。タケフサはかなりトレーニングをしてました。自分でグラウンドを借りて練習したり、フィジカル面も、外部の人に相談して取り組んでやっていたので。それができる選手が日本代表になれると思います。

 武田 久保選手が16年にスペイン1部バルセロナのアカデミーから日本(FC東京下部組織)に戻ってきて、今はRソシエダードで大活躍してリーグを代表する選手の一人になった。ここまで成長すると思った?

 中村 僕が見たのは中2からですけど、抜群にうまかったですよ。駆け引きと個人戦術は飛び抜けていたのですぐに中3のチームに昇格させましたけど、そのレベルではなく、中2の終わりにユース(高校生、FC東京U―18)へ飛び級。今まで見てきた中で一番の選手です。

 武田 FC東京でプロデビューした久保選手は18歳になった19年にスペイン1部レアル・マドリード入りし、レンタルに出されたよね。でもうまいんだけど、結果が残せていなかった。Rソシエダードでようやく覚醒した感じだよ。

 中村 変わったのはみんなが言うように、フィジカルのところ。体の大きさだけではなく、攻撃しながらも守備にもエネルギーを使える。もちろん、体幹の強さだったり、瞬間的なスピードは成長しましたし、結果を出したという自信もあるでしょうね。

 武田 東京Vには15歳でJデビューした森本(貴幸=アクラガス)がいたけど、久保との違いはある?

 中村 直接指導していないけど、体も大きかったし、パワーやスピードは森本が上ですね。ただボールを扱うとか、キックの精度を見ると、タケフサはすごいかな。タイプあるけど、技術ではタケフサが抜けている。

 武田 18歳の久保選手が93、94年に黄金期だったヴェルディにいたとして試合に出られたと思う? 当時はラモス(瑠偉)、カズ(三浦知良=オリベイレンセ)、北沢(豪)にビスマルク…俺もいて。ブラジル代表になるアモローゾも出られなかったでしょ。

 中村 アモローゾもうまかったですよね。外国人枠の問題や、守備とかフィジカル面の問題からトップで出られなかったけど、ヴェルディを辞めて2、3年後には世界的スーパースターになりましたね。久保もアモローゾに近いイメージですね。

 武田、久保選手もあの当時のヴェルディでは試合に出られないか。

 中村 タケフサは中学生でJデビューしたけどJ3でした。高校生になってJ1で試合に出ましたけど、先発に定着したわけではありません。18歳ではフィジカル面も足りないでしょうし、難しいでしょうね。

 武田 じゃあ、高卒1年目にデビューして日本リーグで22試合11得点、19歳で日本代表のデビュー戦でゴールした武田修宏は?

 中村 すごいと思いますよ。なぜか点を取る(笑い)。(静岡・清水東)高校時代から騒がれていたスターですし、これからも武田さんのような選手は現れないと思いますよ。

 武田 久保選手はスペインで大活躍してるから比べることはできないけどね。

(2回目に続く)