【山本昌邦氏が明かす森保ジャパンの内情(2)】12日開幕のアジアカップ(カタール)で最多記録を更新する通算5度目の優勝を目指す日本代表の責任者となるナショナルチームダイレクター(ND)の山本昌邦氏(65)が森保ジャパンの内情に言及した。直撃インタビュー第2回では森保一監督の〝資質〟に迫った。
  
――アジアカップは勝たなければいけない重圧もある

 山本ND(以下山本) コーチングスタッフも変わり、名波(浩)がいて(斎藤)俊英、(前田)遼一。森保監督は彼らの強みを生かし、練習も任せている部分も増えている。監督は全体を統括するような感じ。今までより負担が減って森保監督がより重要なことにフォーカスできるようになった。例えば練習の準備は労力がかかるが、そこもコーチがカバーする。監督はその分を選手とコミュニケーション取る時間が増えている。

 ――森保監督のタイプをどうみているか

 山本 優秀な監督はよく形容詞がつくじゃないですか。戦術家とかモチベーター、哲学者、権力主義者とかね。でも私は「聞く達人」と思っている。最後は監督が決断しますが、上から「こうやるぞ」ってタイプではないし、選手やコーチのいいところを引き出している。スタッフもメディカルともしっかり話を聞いて、それぞれの力を引き出してチームをマネジメントしている。

 ――海外クラブと選手招集の交渉は大変か

 山本 アジアカップは大丈夫ですけど、IMD(国際試合日)ではない(元旦の)タイ戦の調整は大変。欧州に150人くらい日本選手がいるけど、移籍とかもあるので全部把握するのも苦労している。欧州に(協会スタッフが)2人いるけど、各クラブの監督やGMがどんな考えなのかを調べながらコミュニケーションを取り、相当頑張っている。クラブから「こんなにサポートしてくれる代表は初めて」と言われるようです。

 ――海外クラブのアカデミーに所属する日本国籍の選手も多い

 山本(スペイン1部)バルセロナの(DF高橋センダゴルタ)仁湖はお母さんが日本人。そういう選手が海外にいるんですよ。隠し玉? 結構いると考えている。W杯で優勝する国でアンダー世代の代表に呼ばれているけど、日本国籍を持っている選手もいる。21歳までなら他国の代表に呼ばれても1回は変更できるので。時代は変わってますよ。

 ――久保をはじめ、欧州で活躍する日本選手が増えている 

 山本 個人の評価は僕の立場ではなかなか難しい。ただCL(欧州チャンピオンズリーグ)やEL(欧州リーグ)に出ている人が増えている。そうなると週末の試合が日曜日になり、木曜日に代表戦があるのに来日するのは火曜日になる。そこをどうサポートするか。選手がタフに育っていくにはいいことだけど、これまでよりも選手の負荷が倍増どころじゃない。時代というか、ステージは変わった。

 ――欧州と日本の移動は大きな負担になる

 山本 欧州からの移動はウクライナの影響で迂回しないといけないのもある。負担を減らすために(昨年11月21日の)W杯アジア2次予選(シリア戦)でサウジアラビアに行くのにチャーター機を使いましたが、夜中の3時発にした。試合後(16日のミャンマー戦)にホテルで食事して、飛行機に乗ったら真っ暗にしてすぐに寝て時差調整した。定期便だと、できないこと。それに睡眠の質も科学的にチェックしている。選手のストレスもかかる中、少しでも取り除くのが我々の仕事だと考えています。

 ――メンバー選考もリスクマネジメントする

 山本 分析担当と監督、コーチたちは緊密に連絡を取り合ってやっている。11月のW杯アジア2次予選は選手23人登録だけど、26人を呼んだ。コンディションが整わない選手が出ても戦えるように万全の対策でね。ケガ人がでたとき、新たに選手を呼ぶにもクラブとの交渉が必要になるので多めに来てもらった。そうなるとベンチから3人外さないといけないし、試合に出ない選手も出てくるけど、勝利のために必要なことはやっていく。我々に妥協とか我慢はない。