MLBのFA市場をにぎわせた大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が、それぞれ超大型契約でドジャースに移籍することが決まった。目玉だった2人の去就が決着したことで、焦点はメジャー挑戦を目指す残る〝NPB組〟の動向に移りつつある。そんな中でMLB関係者の間からは、契約内容にある付帯条項をつけるべきとの声が上がっている。

 大谷に続いて山本もドジャース入りを決め、今オフの移籍市場トップ2の去就が確定し、楽天から海外FAを行使していた松井裕樹投手(28)もパドレスと契約合意。契約年数は5年でMLB公式サイトなどによると、総額2800万ドル(約40億円)で3、4年目の終了時にオプトアウト(契約破棄)などの条項も盛り込まれたという。

 残る日本人投手の〝NPB組〟はDeNAからポスティングシステムで移籍を目指す今永昇太投手(30)と日本ハム・上沢直之投手(29)の2人だ。米球界関係者によれば、今永を巡ってはこれまでにヤンキースなど15球団を超える争奪戦が展開され、5年総額7500万ドル(約109億円)以上の大型契約も見込まれる。上沢も1年400万~500万ドル(約5億8000万~7億3000万円)以上の複数年、先発ローテの4、5番手候補としてレイズなど複数球団が興味を示している。

 先発としてのメジャー契約が確実視される一方、MLB関係者は警鐘を鳴らすことも忘れていなかった。それは契約のオプションとして「中継ぎもOK」を加えるべきというものだ。

 前出のメジャー関係者は「1年目で結果を残せるかどうかは、誰であっても言い切れるものではない」と断言した上でこう続けた。

「米国に限らず、1年目で結果を出すことは誰であっても簡単ではない。相手、球場、ボール、生活とすべての環境が変わる。いち早く順応できるに越したことはないけど、本来の力が2年目以降に発揮される選手も珍しくない。そういう意味で『何が何でも』ではなくて『希望は先発だけど、チーム事情次第ではリリーフもOK』といった項目は、提案されたらのんでおいたほうがいい」

 仮に「先発限定」の契約で先発として結果を残せなければ出場機会が失われるだけだ。しかし〝便利屋契約〟を結んでいれば、リリーフに転向して経験を積み、新たなステータスを築くことも可能となる。

 こうした付帯条項が「プラス」に働いたのが2022年オフに阪神からアスレチックス入りした藤浪晋太郎投手(29)だ。1年目から先発での活躍を期待されたが、結果を残せず5月以降は中継ぎに配置転換。その後、徐々に本領を発揮し、シーズン途中でオリオールズに移籍した後も中継ぎで30試合、計64試合に登板してメジャー1年目を終えた。

 もちろん、本来希望していた先発でのメジャー契約ではない。それでも、あるナ・リーグ関係者は「投げるポジションは、今後の頑張り次第でどうにでもできる。中継ぎスタートでもチーム事情で急きょ先発にってことだって普通にある。ただ米国に行った以上は(中継ぎでも)メジャーで投げ続けていないと評価につながらない」と語る。

 近年のMLBでは特にNPBの先発型投手の需要が高く、新規契約は〝売り手市場〟。どのポジションで投げるにせよ、何よりも最優先すべきはメジャーの舞台で信頼を勝ち取ることだ。〝藤浪式〟の契約形態は、今後海を渡る日本人プレーヤーの新たなトレンドとなるかもしれない。