プロ野球人生の転機から1年…。昨年初開催だった現役ドラフトで阪神に加入し、12勝と大ブレークを果たした大竹耕太郎投手(28)は、早くも〝飛躍のその先〟を見据えている。8日は同制度が第2回を迎えたことで成功の「先駆者」として、スポーツネットメディアの動画サイトに生出演するなど多忙を極めた。移籍前まで力を発揮できずに終わっていたうっぷんを新天地で晴らし、38年ぶり日本一達成に貢献した激動のプロ6年目はどうだったのか。復活イヤーを振り返った。

 リーグV目前の9月、大竹はこの制度が飛躍の契機となったことへの〝感想〟をこう表現した。

「もう1回、何の先入観もなしに見てもらえるチャンス。(2022年の)二軍の時から『誰かが見ていてくれるだろう』と投げる準備だけは怠らなかった。それが良かった。だから移籍となった時、『それを待っていた』という気にもなれた。勝負できる準備ができていた」

 一方で「生かすも殺すも、自分次第。移籍したら誰でも活躍できるといったそんな〝浅い〟ものではないですね」と打ち明けた。

 その言葉通り、本人に慢心はなし。すでに次の1年に向け、改良を重ねるべき点に思考を巡らせている。その中でも、絶対にアップデートが欠かせないのが「真っすぐ」ときっぱり。

 直球の平均球速は140キロを超える程度。こだわるのはスピードガンの球速表示ではなく、あくまでその質だ。決して三振を量産するタイプではない大竹が、今季全投球数の約半分(47%)を占め「自分の投球のベースになる球」と重要視する。

 その理由は、オフに自主トレをともにする和田(ソフトバンク)、石川(ヤクルト)の大ベテラン2人の思考に共通するものがあるからだ。

「お二人とも言われるのは『自分は真っすぐのピッチャー』だと。自分のようなタイプは年を取れば取るほど、どうしても変化球でうまく打ち取りたいといった考えに走りやすくなる。そうじゃなくてマインド的には、常に真っ向勝負するつもりで、しっかりとした真っすぐを投げられていること。これはすごく大事だと。その中で空振りを取ったり、ファウルを取ったり。お二人がいつもしてくださるのは『いい真っすぐってなんだろう』という話。自分も少しずつできてきた部分もあるので次の自主トレでも、そこは最優先で取り組んでいきたい」

 今年の活躍を来年、再来年も…。この絶対ノルマをクリアしつつ、大目標は、両リーグの最年長投手でもある2人のキャリアのような息の長い投手になることだ。

「まだ自分は実質ローテ1年目。今28(歳)なんで、40まで現役をやったとしても、まだあと12年(笑い)。こういうふうにやっていけば、40歳を過ぎても投げられているというのを間近で見てきている。自分もそこを目指していきたい」

 お手本のエキスを吸収し、その生きざまに近づいていく。現役ドラフトで〝居場所〟をつかんだ男の成功物語は、まだ始まったばかりだ。