用意周到に着々とトレード成立にこぎつけた。ソフトバンクが巨人からアダム・ウォーカー外野手(32)を獲得。高橋礼投手(28)、泉圭輔投手(26)との交換トレードで補強ポイントである「右の長距離砲」をひとまず一枚確保することに成功した。セ・リーグで実績を残した助っ人砲の獲得背景には、明確なトレンド分析があった。

 狙い撃ちとも言えるかもしれない――。近年、助っ人野手の苦戦がNPB、とりわけパ・リーグで顕著になっている。今季の外国人選手の規定打席到達者は3人、昨季に至ってはわずか1人だった。一方で、今季は昨季まで巨人でプレーしたポランコ(ロッテ)が本塁打王を獲得。日本人投手の平均球速が上がるなど、リーグ全体で「投高打低」化が進むパ・リーグで適応に時間を要する傾向が強まっている。

 ソフトバンクは近年、外国人野手の不振に泣かされてきた。今季は昨オフ自由契約でチームを去ったデスパイネを6月に呼び戻す苦肉の策に売って出るも、所属4選手で計128打数14安打の打率1割9厘、1本塁打、5打点という惨状だった。メジャー通算109発のガルビスは2年間で2発にとどまるなど、実績組も大苦戦。フロントは責任を痛感しつつ、不振要因の分析と助っ人戦略の見直しを迫られていた。

 球団幹部の重要な証言がある。「メジャーの打者の傾向と、選手に対するメジャー球団の評価が変わってきている。日本のレベルが上がっていることもあるが、そういった傾向がNPBへの順応性を難しくしている側面が少なからずある」。近年のメジャーは長打力をより重視する傾向にある。代表的選手として挙げられるフィリーズの主軸打者であるカイル・シュワーバー外野手(30)は今季、打率1割9分7厘ながらも47本塁打、104打点。メジャー全体、さらには3A以下でも低打率に目をつぶり、長距離打者を評価する傾向が広がりつつある。

 他者評価が高まれば、選手がトレンドと捉え、そこを目指すのは必然。速球に強い反面、一発狙いで確実性に劣る傾向につながっていく。変化球でかわす、散らす配球も多い日本での適応に、これまで以上に時間を要する一因とフロントは見ていた。

 NPBへの順応性が高い助っ人を見極めることがより難しくなっている状況で、球団が国内組に軸足を移すのは自然な流れだった。ウォーカーは来日1年目の2022年に23本塁打をマーク。今季は課題の送球難が改善されず、出場機会が減ったこともあり、57試合で打率2割6分3厘、6本塁打にとどまった。だが、非凡な長打力は昨オフに巨人との間で2年契約を勝ち取ったことからも魅力十分。真面目な性格で、米独立リーグ出身らしくハングリーさもある。来季に向けた助っ人補強を本格調査する中で、球団にとっては「最適解」という判断に至ったとみられる。

 今回は、先発と中継ぎ投手の補強を目指していた巨人との思惑が合致し、狙い通りミッションを完遂させた形。球団は去就が注目される西武・山川の国内FA行使に備え、着々と準備を進めている。課題の先発整備、絶対守護神・オスナの残留交渉など今オフもストーブリーグの主役を張りそうなソフトバンク。まずは狙い通り、一つ目のミッションをクリアした。