球団を挙げた本気の変革期を迎えた。ソフトバンクが16日のCSファーストステージ・ロッテ戦(ZOZOマリン)に延長戦の末に3―4で壮絶な逆転サヨナラ負けを喫し、2023年シーズンの幕を閉じた。藤本博史監督(59)は退任となり、後任は小久保裕紀二軍監督(52)の内部昇格が最有力となっている。「補強と育成の両輪」をテーマに掲げるフロントでは、西武・山川穂高内野手(31)やDeNAのトレバー・バウアー投手(32)ら〝超大物〟の獲得調査に加え、育成改革にも取り組んでいく。

 まさかの結末だった。0―0の延長10回に3点を先制し、ファイナルステージ進出が決まったかに思われた。しかし、直後に悪夢が待っていた。7番手・津森が藤岡に同点3ランを被弾すると、8番手・大津が相手の勢いにのまれて安田にサヨナラ適時二塁打を許した。

 どこで歯車が狂ってしまったのか。開幕から好スタートを切り、首位争いを演じていたチームは7月に12連敗を喫して急失速。同月以降は3連勝がなく、勢いに乗れない戦いが続いた。勝てば2位を確定させられた今月7日の楽天戦(楽天モバイル)に引き分け、9日のオリックスとの最終戦(京セラ)でも黒星。最後まで勝ち切れなかった。

 2年目の藤本監督は今季限りで退任。10ゲーム差以上をつけての〝ぶっちぎりV〟を目指しながら、オリックスに屈辱の3連覇を許した。最終的には「15・5ゲーム差」。下克上で日本一を成し遂げたとしても大差V逸の責任は重かった。

 後任候補は小久保二軍監督の内部昇格が決定的となっている。シーズン最終戦に敗れた夜、宿舎のミーティングで王会長は「技術については選手のみんなに言うことはないが、もっとプレーに心、気持ちを入れてほしい」と厳しい言葉を投げかけた。〝王イズム〟の継承者でもある新指揮官が、厳しさと愛情を兼ね備えた指導で黄金期再来を目指していく。

 補強面でも本腰を入れる。かねて球団首脳は「補強と育成の両輪」を掲げてきた。黄金期だった2010年代は屋台骨となりえる選手を補強で獲得し、当時若手だった柳田らが主力に成長していくサイクルができていた。だが、その主力勢も年齢を重ね世代交代の過渡期を迎えている。

 大型補強の候補としては西武・山川の獲得調査を行っている。主力に左打者がそろうチームの補強ポイントは右の長距離砲。今季は右のデスパイネ、アストゥディーヨ、ホーキンス、両打ちのガルビスの助っ人野手4選手はトータルで打率1割9厘、1本塁打、5打点と散々な成績に終わった。西武側の処分の解除、すでに不起訴となっている不祥事の対外的な終結など状況を見極めながらになるが、取得見込みである国内FA権の行使などの可能性を注視していく模様だ。

 規定投球回到達が0人だった先発投手では、DeNA・バウアーに視線を向ける。球団内から「彼が中4日で回るとほかのローテ投手の調整が難しくなるし、ウチはDeNAのようには自由にさせられないが…」との慎重な意見もある一方で、その実力は折り紙付き。もう1年は日本球界でという観測もあり、オフの市場に出る最高峰の候補として追いかける。

 また、全員が退団となり不在となる外国人野手に関してはフロント内に「いきなり日本に来て活躍するのは難しい一方で、なかなか打席数を与えられなかった」との声もある。ロッテ・ポランコらNPBで実績のある選手の動向を見守っているとみられる。

 チームとしても思い切った若返りも進めていく方針だという。後藤社長は「補強は必要でしょうが、いい選手を外から獲ってくるだけが補強ではない。うちの強みは本来、育成だと思う」とも話す。育成選手も含めて一~四軍の大所帯となっている中で「育成のホークス」は停滞している。秋季キャンプで投手を筑後、野手を宮崎と縦割りにするなどして、課題の若手育成に向けた取り組みも試していく。

 フロント、現場が一体となり立て直しを図る。黄金期の再来に向けて、ソフトバンクが本気のオフを迎える。