いよいよ大争奪戦のゴングが打ち鳴らされる。オリックスは5日の日本シリーズ第7戦(京セラ)に1―7で敗れ、日本一連覇を逃した。無双エース・山本由伸投手(25)のポスティングシステムによるMLB移籍を球団側も正式承認。黄金右腕を巡るメジャー球団の評価は青天井で、長らくその動向を視察してきたMLBスカウトは「彼には〝超能力〟がある」と断言した上で「史上最大の大型契約もある」と太鼓判を押している。
3年連続投手4冠、沢村賞、2年連続のノーヒットノーラン、そしてエースとしてリーグ3連覇。今季も山本が16勝6敗、防御率1・21、169奪三振、勝率7割2分7厘とタイトルを総ナメにした。
日本一まではあと一歩及ばなかったが、第6戦では1失点完投、シリーズ新記録となる14奪三振のおまけつきで〝ラスト無双〟を成し遂げた。この日の試合後に球団は大功労者・山本のポスティング移籍を正式に承認。山本本人は球団側への感謝を述べ「すごくオリックスが好きなので寂しさもあります。世界最高のリーグだと思うので、そこでしっかり通用する選手を目指していけたら」と語った。
新たなステージに挑戦する道筋は整った。5年前から山本の成長ぶりをスカウティングし続けているMLB関係者は「彼はスロースターターなのでメジャーの野球にアジャストさえできればすぐに通用する。慣れることだけ。若いからすぐに対応できるだろうし、心配するようなことは何もない。体の大きさも関係ないし、今後を見込んでツーシームを多投しているのもいい。メジャーでは有効になるからね」と寸評。無双右腕は海の向こうでも確実に結果を残せるとみている。
球速、変化球の精度、投球術、フィールディング。MLB関係者にとって山本のあらゆるチェック箇所がストロングポイントとなっているが、その中からは研ぎ澄まされた〝特殊能力〟を持っているとの指摘も出ている。別のスカウトは「彼のすごいところは嗅覚。対戦する時に〝この打者は嫌だな〟というのが分かる。そういう時はボール球を投げたりしてかわそうするのが見える。ロッテの安田とかね。ここはストライクをいったら打たれる、という危機管理能力がある。事前に察知できるんだ」と明かし、驚きを隠せない。
「1年で二十数回先発してすべて調子がいいわけではないし、本当にいい時は数回かもしれない。ノーヒットの時(9月9日、ロッテ戦)もそんな本調子じゃなくても、うまく投げたよね。感覚的なものは理屈じゃない。それだけの投手はなかなかいない。昔でいうと稲尾和久さん、東尾修さん、(楽天時代の2013年シーズンで)24連勝した時の田中とかね」と往年の大投手に見られた能力だという。
では、どの球団が山本を獲得するのか。有利なのはキャッシュマンGM自ら視察したヤンキース、メッツ、ドジャース、レッドソックスなどの〝金満球団〟だ。マネーゲームが青天井になることも予想される。
前出のスカウトは「25歳なので妥当なのは7年~8年契約だけど、10年契約もあるかもしれない。取り合いになるとどんどん上がっていく」と分析しており「本来の適正価格があっても去年の吉田正尚にレッドソックスが破格の金額(5年138億円)をいきなり出したようなことをヤンキースがするかもしれない。となると他はどうしようもなくなる」と予想した。直接視察だけでなく、ヤンキース、レッドソックス、フィリーズ、ジャイアンツなど複数のMLB球団は実際にオリックス側に水面下で過去のデータの照合を持ちかけている。
楽天の田中将は2014年にヤンキースと7年総額162億円で契約して球界を驚かせ、MLBでは7年で78勝の好成績を残した。その後はNPB投手への評価がやや落ち着く傾向となったものの、昨オフにソフトバンクからメッツに移籍した千賀が今季29試合で12勝7敗、防御率2・98の好成績を残したことで「日本人投手がまた見直されている」(前出スカウト)という背景も最高の追い風になるという。
すでに米メディアでは「7年292億円以上」「300億円から入札がスタートする可能性が高い」などと報じられるなか、同スカウトは「選手が長期のほうがいいと思えば10年もあるし、総額は300億円くらいになるとは思うけど、予想は覆る。400億円だって絶対ないとは言えない。あとは代理人の手腕次第だね」と仰天予想を口にしている。いずれにしても山本は日本人選手として「史上最大の大型契約」となる可能性が高い。
超一流の条件をコンプリートし、メジャーに飛び立つ黄金右腕。MLBとの契約でも歴史を塗り替えることになりそうだ。












