指導法と現役時代の引き出しの多さが若い選手をひきつけるのか。1日から始まった日本ハムの秋季キャンプに参加している元中日・荒木雅博臨時コーチ(46)の「存在感」が日に日に高まっている。
日本ハムは今季12球団ワーストとなる「94失策」を記録するなど守備が課題。特に内野陣のもろさが顕著だったため、新庄剛志監督(51)はシーズン終了直後に2007年の盗塁王で「守備職人」として名をはせた荒木氏に臨時コーチを要請。お互いに現役時代から「あいさつ程度」しか面識がなかったというが、荒木コーチも今オフに中日を退団し「やることもないですし〝プー太郎〟でしたので」と快諾。今回のキャンプ参加となったが、指導は秋季キャンプの第1クールだけでわずか5日間しかない。
そんな経緯もあって、キャンプ前は周囲から「ごく短期間の荒木さんの指導で、本当に選手の守備は向上するのか」という疑問の声も上がっていた。だが、そうした意見がここにきていい意味で裏切られ始めている。
荒木コーチの指導法は「一切強制しない」がモットー。あくまで選手の力量や意見を尊重しながら、自身の経験や知識をもとに「変に細かいことを言わず、行き着くところは同じでも上っていく道をちょっと変えてあげる」(荒木コーチ)という〝ヒントの伝授〟がナインに大歓迎されているのだ。
今季、本拠地の天然芝のグラウンドに手を焼いた上川畑は「ほかの球場よりエスコンは(打球が)死ぬ。だからまず前に出ることが重要ですが、その具体的な方法を(荒木コーチに)実際に教えていただきながら確認できるので」と話す。さらに、チームの韋駄天・五十幡は2日の走塁練習で元盗塁王からこう助言されたという。
「荒木さんは(一塁走者時のリードは)戻りバックの意識。体重は右足、意識は一塁側で(割合は)8対2ぐらいだったらしいです。でも自分は7対3くらいで意識は向こう(二塁)です。そのイメージはなかったので面白いなと。でも『最終的には自分だから。人それぞれあるけどそれが全てじゃない』と」
独自な言い回しで経験を伝える一方、選手にはしっかり頭を使わせて取捨選択をさせる。こうした指導が若い世代のハートをつかむのだろう。
キャンプ滞在は残り3日間だが、早くも「(来年2月の)春季キャンプにも呼んだほうがいい」という声も出始めている荒木コーチ。新庄監督も「荒木君がうちの選手に合うかもしれないね」と信頼を寄せていたが…。今から優秀なコーチは囲い込んでおいたほうがいいのかもしれない。












