「三振かホームランでいい」――。ソフトバンクのリチャード内野手(24)が、持ち味を発揮する一発でファーム日本一に堂々と貢献した。7日に行われたファーム日本選手権の巨人戦(ひなたサンマリン宮崎)に「3番・三塁」で出場。2点を追う8回、無安打2三振で迎えた第4打席で左翼席中段へ叩き込む特大弾で反撃のスイッチを押した。この一発で流れが変わり、チームは同点、一気に逆転に成功。4年ぶり5度目の優勝をたぐり寄せる大砲らしい仕事だった。
「ケガをして出られてなかったんですけど、こうやって使ってもらったことがありがたかった」。ウエスタン・リーグ優勝を決めた試合は欠場。出場意欲を示したファーム2冠王の思いと、小久保裕紀二軍監督の親心が結実したアーチだった。
第5打席の空振り三振を含め、この日は3三振。だが、展開を変えた魅力ある一発が、リチャードの存在価値を証明していた。「リッチーはあれでいい」。試合後、チーム内からあふれ出た賛辞だった。
「カイル・シュワーバーでしたね。そういうつもりでいきました」。リチャードが名を挙げた人物は、今季MLB30球団ワーストの215三振を喫し、打率1割9分7厘という低打率ながら47本塁打を放ったフィリーズの主砲。昨季のナ・リーグ本塁打王は打率1割台で40発、100打点をクリアした史上初の選手となり、メジャーでも屈指の人気を誇る。
「いつも三振すると〝負のらせん階段〟を下りていくんで、割り切って『俺はカイル・シュワーバーだ』と(自分に言い聞かせた)。三振かホームランでいいやと割り切れたのが、あの結果につながったのかなと思います」(リチャード)。
失敗を恐れ、消極的な姿勢になりがちな自らを戒め、攻めた結果だった。この日、本塁打以外は見せ場なし。それでも卑屈になることはなかった。「(8回は)イニングの先頭で出塁を考えた。でも、点差があったし、自分が出ても〝各駅停車〟になる。ホームランはチームを勢いづかせる。なので、思い切って割り切りました」。
魅力いっぱいの一発に、この日一番の歓声が上がったことが「答え」を指し示しているようだった。最後の打席で空振り三振に倒れた際も肩をすぼめるのではなく、胸を張ってベンチに戻る姿がすがすがしかった。
ファームでは4年連続の本塁打王を獲得し、打点と合わせて2年連続の2冠王に輝いたが、今シーズンも〝一軍の壁〟にはね返された。もちろん本人の落胆も相当だ。ただ、停滞はしていない。前へ、前へ、再び信じる道を歩み始めた。













