圧倒的な強さでペナントレースを制した岡田阪神。チームを栄冠へ押し上げた原動力の一つが抜群の安定感を誇った救援陣だろう。いかにして“リリーフ王国”に進化させたのか。昨季まで投手コーチとしてブルペン強化に尽力した本紙評論家・金村暁氏(47)が安藤優也投手コーチ(45)に迫った。

 金村氏「アレ」改め、優勝おめでとうございます!

 安藤コーチ ありがとうございます。

 金村氏 開幕から中継ぎ陣はすごく機能していたように見えた。

 安藤コーチ 3連投も加治屋が一番多いのかな。それでも3回ぐらいで抑えの岩崎でも3連投までだったかと。3連投しても(3連投の)間のところはワンポイントとかで。球数もそこまで増えずに済みましたね。

 金村氏 例えば島本も1イニング投げた翌日は3分の1回、その次の日は3分の2回とか(8月9~11日)。7月下旬から取り入れたブルペンの9人体制。これ、ハマったよね。考えたのは安藤コーチ?

 安藤コーチ 9人いれば1人は休ませられるというのを、どこかで監督さんが気づかれたのかなと。

 金村氏 そもそもは(7月に骨折した)近本が離脱したから9人入れられた。

 安藤コーチ これはありがたかったです。新システムじゃないけど「ありだな」と。

 金村氏 多くの野手を固定起用していたからこそ、できた配置かもしれないね。すごく画期的だった。経験豊富な岩崎と岩貞、加治屋の存在は大きかったのでは?

 安藤コーチ ブルペンをうまくまとめてくれていますね。岩崎も「自分が引っ張っていくんだ」という自覚をすごく感じますし。若い選手がやりやすい環境をつくってくれて。

 金村氏 若いといえば、7月下旬に先発からブルペンに入った2年目の桐敷も大きかった。こんなにハマるとは…。
 安藤コーチ 正直、思ってなかったです(笑い)。

 金村氏 岩貞の調子が少し悪くなったら、そこを投げれるんだし、大したもんだよね。ところで、岡田監督は前に監督をされた時よりも、試合中の笑顔がはるかに増えたような…。

 安藤コーチ 確かに笑顔は多いです(笑い)。劣勢でも意外と笑顔がありますね。

 金村氏 失礼ながら、そういう時ほど怖い?

 安藤コーチ あぁ~(笑い)。でも、そんなことはなくて。監督から「(マウンドに)ちょっと行ってこい」とは言われますけど「頑張れ」とか「気合を入れてこい」みたいな内容が多いですよ。

 金村氏 安藤コーチのほうから監督に進言することは?

 安藤コーチ 基本的には監督が「ここどうすんのや?」と聞いてきた時に「どうですか?」と提案して「OK」というやりとりがほとんどですね。

 金村氏 岡田監督の投手運用で「すごいな」と思うことは?

 安藤コーチ 継投もそうですが、駒を一気にこう使う時の頭の回転の速さは、すごいと思います。相手がこう来たら、こうみたいな。詰め将棋みたいです。終盤に投手をつぎ込んだり「バッターの〇〇で走者が出たら△△行って」と。頭の回転が本当に速いです。

 金村氏 8連勝目の8月11日のヤクルト戦。3アウトを取るのに4人で継投した。

 安藤コーチ あそこは攻めましたね。こちらも監督の横にいて、こうなったらこうしようと投手を準備して。選手には準備をさせてから(マウンドに)行かせたい。いろいろなことを常に想定しながら準備していたのは事実ですね。でも、やっていくうちに選手も「ここは俺」みたいに板についてくるんですよ。島本は肩ができるのがちょっと遅い。なので、ランナーが出たら左の自分が呼ばれるかなと想定して、自分から早めに準備に取りかかってくれます。

 金村氏 自分で自分を知る投手が増えるほどコーチが一番助かる。モチベーションを高めた中継ぎの合言葉とかは?

 安藤コーチ ミーティングでは「常に日々新たに頑張っていこう」と。リリーフは打たれても翌日にすぐ試合がありますし。引きずることが一番良くない。なので、打たれたピッチャーに僕がよく言っていましたね。

 金村氏 最後にポストシーズンへの抱負を。

 安藤コーチ 力を持った人材はたくさんいるので、うまく使いながら。そのあたりは、監督や僕らの腕のみせどころ。今度は日本一を目指して頑張っていこうと思っています。