エンゼルスが事実上の「白旗」を掲げた。主力6選手が29日(日本時間30日)にウエーバー公示にかけられたと米メディアに報じられ、9年ぶりのプレーオフ進出を断念。このチーム解体は今オフ、FAとなる大谷翔平投手(29)の去就にどんな影響を与えるのか。一部の有力筋からは大谷のエンゼルスへの不信感がピークに達し、移籍に大きく気持ちが傾きつつあるとの見方も出始めている。右肘靭帯損傷で当初の見立てよりも市場価値が下がり「全29球団が獲得に乗り出す可能性」もささやかれ、二刀流スーパースターを巡る動きが混沌としている。
1か月も経たないうちにギブアップしてしまった。8月1日(同2日)のトレード期限で〝買い手〟に回り、巨大補強を行っていたはずのエンゼルスがあっさりと方針転換。ルーカス・ジオリト投手(29)、マット・ムーア投手(34)、レイナルド・ロペス投手(29)、ハンター・レンフロー外野手(31)、ランデル・グリチェク外野手(32)、ドミニク・リオーネ投手(31)の主力6選手のウエーバー公示手続きを申請したとMLB公式サイトや米スポーツ専門局「ESPN」など多数の米主要メディアが一斉に報じた。
ウエーバー登録された選手は公示後、48時間以内に獲得を希望する球団が名乗りを上げた場合に移籍が成立する。9月以降はアクティブロースターの登録枠が2人増えることや、移籍する選手がプレーオフに出場するためには31日(同9月1日)までに新天地でロースター登録が完了していなければならない点も踏まえ、ポストシーズン進出を争う球団が獲得に興味を示すかもしれない。いずれにせよエンゼルスはトレード期限後のため、移籍先に交換要員を求めることは不可能。主力6選手の無償放出によってチーム総年俸を少しでも安くし、ぜいたく税の支払いを避けるのが狙いとみられている。
ジオリト、ロペス、グリチェク、リオーネの4選手はエンゼルスがトレード期限前に補強していた新戦力。チームは9年ぶりのポストシーズン進出を目指そうと前のめりになっていたが、8月以降は29日現在で7勝19敗と記録的ペースで黒星が積み重なって急失速し、これらの補強も完全な失敗に終わってしまった。
そして、このエンゼルスのチーム解体は大谷の去就にも大きな影響を及ぼしそうだ。MLB関係者は「いくら心の広いオオタニであっても今回のエンゼルスの決断に対しては、さすがに我慢の限界に達しているだろう」と指摘。そして「右肘内側側副靭帯損傷を患いながらもチームのプレーオフ進出の僅かな可能性にかけ、自分の身体にムチを振るいながら打者として強行出場を継続させている。そのタイミングで主力の大量放出に踏み切ったのだから、少なからずショックを受けているはず。愛想を尽かしているとしても不思議ではない」とも続けた。
26日(同27日)にはミナシアンGMが会見を開き、右肘靭帯を損傷した大谷に対し、今月上旬の時点で患部の検査を打診したものの本人と代理人のネズ・バレロ氏に拒否されていた内幕を暴露。前出の関係者は「特段明かす必要のない情報をあえて公にし、エンゼルスは自分たちが悪者ではないことをアピールした。このようなアジテーションを立場のあるGMが口にしたことにもオオタニ側が相当に神経を尖らせているのは言うまでもない」とし、蜜月だったはずの両者の関係性に亀裂が生じつつあることを匂わせている。
ちなみに大谷が締結する来季以降の新年俸は総額5億㌦(約729億2600万円)を超えるとの声が飛び交う一方、右肘靭帯を損傷したことに加えて来年で30歳を迎える年齢面がネックとなり「青天井だった当初の予想額よりも大幅に下がるのでは」とする分析もここにきて強まっている。
実際にMLB公式サイトも25日(同26日)の掲載記事で「オオタニに天文学的な数字を提示できる球団は、本来限られていた。ドジャース、ヤンキース、ジャイアンツ…。しかし、この数字が緩んでしまった今、より多くの球団が彼の獲得を夢見ることができると考えなければならない」と論じている。この流れを踏まえ、前出の関係者も「エンゼルス以外の全29球団にオオタニ獲得のチャンスが出てくるだろう」と補足している。
今後のトミー・ジョン手術の可能性、そして今オフの去就…。大谷にまつわる数々のトピックスに世界が注目している。











