【赤ペン! 赤坂英一】「相手がどこであってもウチはいつも一戦一戦! 全員で戦って全員で頑張っていくだけです!」
残り40試合を切って、広島・新井監督は勝っても負けても、序盤と同じ言葉を繰り返している。
自力優勝がなくなっても、阪神の優勝マジックが減っても、「あくまでも数字上のこと」と強気な姿勢を崩さず。「全員でいくぞって姿勢を見せないといけない。すべての可能性に備えて準備をしてくれ」と選手に言い聞かせているそうだ。
そうした普段の言動の裏側にあるのは、「監督たる自分は常に選手たちに見られている」という自覚だろう。もっと言えば、「選手たちに弱気なところは見せられない」という使命感だと思う。
新井監督は4番だった現役時代から、「チーム内で見られていることを意識していた」という。引退を間近に控えた2017年ごろ、4番の座を受け継いだ鈴木誠也(現カブス)にも、こうアドバイスしていたそうだ。
「4番になったら、周りの見る目が変わる。打席だけじゃなく、ベンチの中でも常に見られるようになるんだ。チャンスでもピンチでも4番はどんな態度でいるのか、と。だから、絶対スキを見せちゃいけない。いつでも堂々としていることだ」
4番から監督になればより一層、「堂々として」いなければならない。
そんな新井監督はいつも「選手たちは気持ちでプレーしている」と強調している。中継ぎの島内がガッツポーズすれば、「あんなの見たことないでしょう」と絶賛。スタメンに抜てきした末包や矢野が活躍すると「彼らは『絶対打ちます!』って言うんですよ。ベンチの中でも『チャンスで俺に回せ!』って、ずっと声を出してるんだから」
ところが、新井監督の談話を末包本人に当ててみると、どうやらベンチで「チャンスで回せ」と先に言っていたのは新井監督のほうらしいのだ。
「僕と矢野への監督なりの激励といいますか。声かけをいただいたので、たまたま本当にチャンスで回ってきたので、それを生かせてよかった」
そうやって、新井監督が率先して気持ちを前面に出し、選手を鼓舞している。だから選手も結果を出せるのではないか。と、新井監督に聞くと、
「どうですかねえ。私は自分のことはわからないんで。そこは周りの方が見て、どう感じてくれるか、だと思いますね」
そう煙に巻かれてしまった。新井さん流の選手操縦術は、ファンが想像するよりも奥が深そうである。












