史上88人目の快挙を成し遂げた。ソフトバンク・石川柊太投手が18日の西武戦(ペイペイ)で今季12球団で初となるノーヒットノーランを達成した。テンポよく最後まで力のあるボールを投げ込んだ。127球目で最後の打者・中村を一ゴロに打ち取ると、満面の笑みを浮かべた。5月19日の西武戦以来、実に3か月ぶりの白星となる4勝目(5敗)を挙げた。

 今季は先発の柱を託されながら、思うような投球ができず「求められているものに応えられてない」「期待を裏切り続けている」と悩んでいた。「そういうのは自分から見に行かないようにしている」と話すが、以前は近い存在であることを大事にしてきたSNSなど、ネット上でも厳しい言葉が並んだ。

 そんな中で救いになったのは、盟友でもあるメッツ・千賀の言葉だった。およそ2時間ほどの電話で「メンタル的にやばい時期に話をできたことが大きかった」と感謝する。中5日でローテーションで回り、長い移動距離を飛び回る米球界での現在について、千賀は「余裕がなさすぎる。いろんなことを考えたりしている場合じゃない」と技術向上や登板に向けた準備などだけに集中している日々であることを伝えてくれたという。

千賀(左)の跳び蹴りをよける石川(2018年)
千賀(左)の跳び蹴りをよける石川(2018年)

 そのことが迷いを捨てるきっかけとなり「引っ張る立場とか考えたり、自分にそんな余裕なんてない。シンプルに投げるボールをよくする。いいボールを投げることに集中していこう」と再確認できた。SNSとの距離の置き方も「居場所はここ(チーム)だし、自分は野球選手なので結果を出すだけ」と自ら答えを出している。

 1球、1球を磨き、より良い投球を求めていった。7月の練習日には、王貞治球団会長から「マダックスを目指しているか」と声をかけられた。〝マダックス〟とは、100球未満で完封することを意味する。「1球、1球に意志を持って『こうするんだ』という意図を持って投げることが大事」とのメッセージだった。7月24日のロッテ戦で7回4安打無失点の投球を見せるなど、直近の登板では勝ち星こそついていかなかったが復調の兆しを見せていた。

 2020年に最多勝、最高勝率の2冠に輝いた右腕は「次が本当に大事。これでシーズンが終わりなら最高の結果ですけど、続くので。いいきっかけにするチャンスだと思い足元を見つめて、今日良くなかったところを次に生かしたい」と、さらなる快投を誓った。