【鈴木平 超二流~花の咲きどき~(21)】自由で個性派揃いのオリックスブルーウェーブ。1995年にトレード移籍で加入した最初のキャンプではカルチャーショックを受けました。
 ヤクルトでは野村監督から厳しく指導を受けていましたが、対照的に仰木監督はおおらかすぎました。

 オープン戦の序盤は若手のアピールの場のはずなんですが、オリックスには特殊事情がありベテランが帯同するんです。

 離島の宮古島でキャンプをしているわけですから、2月20日くらいから日程に組まれているオープン戦のために、飛行機で沖縄本島に移動します。

 てっきり、若手やわれわれのような移籍組の新戦力が指名されるのかと思っていましたが、山田久志投手コーチが挙手を促して沖縄本島行きの希望を取るんですよ。「那覇行きたい人~」って。

 すると、超ベテランの佐藤義則さんや、エースの星野伸之さんらがこぞって手を挙げているんです。

 その年、ベイスターズからオリックスに同じタイミングで移籍してきた水尾嘉孝さんとも話していたんです。われわれはセ・リーグから移籍してきている感覚でどんなチームだろうと思って観察している状態です。

「いや、これはおかしいよね。絶対に笑かそうと思ってギャグで言ってるに決まってるよ」などと話していたらそんなことはない。

 山田投手コーチも「そうだな。じゃあ、ヨシも行くか。星野も長谷川も行く? 向こうでバッピでもやるか。15分でいいかな」って、連れていくんですよ。

 で、本当に主力投手も帯同してオープン戦の打撃練習に登板して、今度は試合中にはもう早々に上がっちゃうんですよ。もちろん、若手投手や今からアピールしなきゃいけない僕なんかは最後まで残っているんですけど、もう衝撃ですよ。

 那覇で1試合やって帰るだけの日程なんですけど、前日から前乗りして飲みに行って打撃投手をして帰る。それを当たり前のようにやってましたからね。

 今度はオープン戦の開催地が徐々に北上していくわけです。そして博多の遠征となったらまた、山田投手コーチが「行きたい人~」って希望者を募る。するとまた佐藤さん、星野さんが手を挙げてるんです。また、本当に帯同させるんですよね。

 シーズンに入っても博多どんたくの時期に福岡ドームへの遠征があると、朝のグラウンドで「昨日、どんたく見た? 俺、ほとんど寝てないよ」などと、そういう話を平気で選手とコーチがしていましたからね。

 だって仰木監督が率先して自由に振る舞ってましたもんね。仰木さんは福岡・東筑高出身ですし西鉄の選手ですから博多は地元ですよ。試合後のバスは先頭に乗っていますから、真っ先に降りて着替えて、僕らが荷物を持ってエレベーターに乗るころには「おう、行ってくるわ」と言って、もう外出してました。いや、本当にすごかったです。