次は誰が反対するのか。東京・神宮外苑の再開発計画を巡って29日、東京地裁で事業認可取り消しを求める訴訟が始まった。この再開発には音楽家の坂本龍一さんや作家の村上春樹氏が反対を表明。大きな話題となっている。

 原告は周辺に住む住民ら59人。東京都が事業者に対して行った工事施工の認可取り消しを求めている。再開発により神宮球場と秩父宮ラグビー場が場所を入れ替えて建て替えられ、高層ビルもできる予定。それに伴って多くの樹木が伐採されるということで反対論も根強い。3月に死去した坂本さんが小池百合子東京都知事らに反対の手紙を送っていたことは記憶に新しい。

 原告の1人である経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏はこの日あった第1回口頭弁論後の会見で「市民の利益を最優先すべき東京都が事業者の利益だけを考え、事業者と一緒になって突き進めている状況は本当にいいのか。司法が判断する必要性を感じました」と訴訟の意義を話した。

 反対派は事業者への働きかけも強めているが、同時に世論の盛り上がりにも期待している。裁判後に行われた報告会では出席者から「裁判官は世の中の動きを気にしながら判断する。おかしいという声が大きくなると影響を受けます」「小池都知事も追い詰められています」などと世論を重視する声が上がった。

 中でも有名人の反対表明は世論に影響を与える。坂本さんの手紙だけでなく、村上氏がラジオで「個人的に強く反対しています。一度壊したものってね、もう元には戻りませんから」と発言したことは大きく報道された。

 カップ氏は取材に「著名な方が声を上げると世論に役立つと思います。ぜひ著名人の方々も声を上げましょう」と歓迎している。世論の動向に敏感なのは小池氏も同じ。有名人の反対表明が続けば無視はできなそうだ。