阪神は11日のヤクルト戦(甲子園)に2―1で競り勝ち、連敗は2でストップ。首位DeNAとのゲーム差を2とした。

 1―1と同点の8回から2番手として救援登板し、1回を1安打無失点に封じた石井大智(25)がプロ3年目にして初勝利をマーク。味方のミスも絡み二死一、二塁のピンチを招いたが、サンタナを146キロの直球で一邪飛に打ち取り窮地を脱出。その裏、一死二、三塁から糸原の遊ゴロが野選となり1点を勝ち越し、白星を手にした。

 試合後の石井は「自分だけの力ではない。前監督の矢野さんにも1年目から使っていただきましたが、岡田監督にもチャンスをいただいて、いいところで出番をもらっている。本当に感謝しています」とウイニングボールを手に笑顔。「自分はまだ1年間を通して働いたことがないので、ガツガツ行くだけ。一歩ずつ進んでいきたい」とさらなる飛躍を誓った。

 今季からチームのセットアッパーに抜擢された石井は、ここまで13試合に登板し防御率0・60と好調を持続。今や虎ブルペンに欠かせぬ存在にまでのし上がった。今オフから「右打者対策として」習得に取り組んできたフォークが飛躍のきっかけのひとつとされているが、実はもう一つ、磨きをかけてきた〝魔球〟がある。

 それはチームのレジェンドクローザー・藤川球児氏(42=現球団本部付SA)すら彷彿とさせる、切れ味抜群のストレート。「ベースの上での直球の強さを求め、球児さんや岩崎さんの映像を参考にフォーム改造を積み重ねてきた」ことが実り、その質は劇的に向上。スピードガンの最速は150キロそこそこだが「ラプソードで計測したところ、回転数はいい時で2400程度。ホップ成分は50センチから60センチくらいあります」と石井は語る。

 ホップ成分が50センチを超えれば「伸びのある球」と表現される中、60センチとなれば驚異的だ。

「伸びのある直球があるからこそ、打者はワンバウンド気味のフォークすら空振りしてくれる。(従来の決め球だった)シンカーの使い方も含めて配球の幅も広がる」と語った右腕は「これまで積み重ねてきた点と点がつながってきた」と手応えをにじませる。

 独立リーグの四国アイランドリーグ・高知を経て、2020年のドラフト会議で阪神に8位入団。〝雑草〟という名の草はこの世にひとつもない。石井大智だけが咲かせることができた花はこの夜、甲子園のマウンドで〝らんまん〟と開いた。